◎サイード大統領が提案する憲法改正を議論する「国民対話」は4日から始まった。
チュニジアの野党は5日、首都チュニスで政治集会を開催し、サイード(Kais Saied)大統領の専制政治と憲法改正に関する国民投票に反対すると表明した。
サイード氏は昨年7月、政府のコロナ対策と経済政策の失敗を非難し、当時の首相を解任したうえで議会を一時的に停止し、自分の権限を強化した。サイード氏の強権的なやり方に反対する野党と活動家はこの措置をクーデターと非難し、各地で抗議デモを続けている。
サイード氏は先週、汚職やその他の犯罪を理由に全国の裁判官57人を解任した。議会は今年3月に解体されている。
元議会議長であるイスラム政党「アンナハダ」のガンヌーシ(Rached Ghannouchi)氏は5日、「チュニジアは独裁者に統治されている」と記者団に語った。
またガンヌーシ氏は「専制政治の終わりはそう遠くない」と強調し、野党で一致団結してサイード氏に立ち向かう必要があると述べた。「野党は力を合わせて憲法改正を阻止し、クーデター指導者を打倒しなければなりません...」
ガンヌーシ氏は2011年のジャスミン革命で打倒された故ベンアリ(Zine El Abidine Ben Ali)前大統領もサイード氏のような強権的な措置は取らなかったと指摘した。
サイード氏が提案する憲法改正を議論する「国民対話」は4日から始まったが、野党と主要な労働組合はボイコットを表明している。
政府は改正案の草案を公表しておらず、7月25日に予定されている国民投票は賛成か反対かを選ぶ単純な形式で行われるとみられる。
労働組合UGTT(チュニジア一般労働組合)と多くの国際機関がサイード氏の取り組みに反対し、6月16日には公共部門のストライキが行われる予定。
地元メディアによると、国境なき記者団や欧州地中海人権ネットワークを含む複数の国際機関がUGTT事務局と問題について協議したという。
サイード政権はボイコットの有無にかかわらず、国民対話を継続すると表明している。