◎ロシアは民間人を意図的に狙ったというウクライナの告発を否定している。
ウクライナのベネディクトワ(Iryna Venediktova)検事総長は31日、ロシア軍の戦争犯罪が毎日200~300件報告され、約1万5000件を捜査していると明らかにした。
ベネディクトワ氏はオランダのハーグで記者団に、「これまでに約600人の容疑者を特定し、80人を起訴した」と語った。
容疑者リストには軍の高官、政治家、プロパガンダを拡散した個人などが含まれるという。
ロシアは民間人を意図的に狙ったというウクライナの告発を否定している。
ベネディクトワ氏は1万5000件のうち、数千件は激しい戦闘が続く東部ドンバス地方で確認されたと説明した。
またベネディクトワ氏は、ドンバスで確認された戦争犯罪には子どもを含む市民の強制収用や移送も含まれるとした。
ウクライナの国営メディアもルハンシク州などで拷問、虐殺、住宅地への攻撃など、複数の戦争犯罪が確認されたと報じている。
AFP通信によると、検察はロシア軍の支配地域以外で捜査を進めており、避難民やロシアの捕虜からも聞き取りを行っているという。ポーランドやリトアニアなどがこの捜査を支援している。
また国際刑事裁判所(ICC)も過去最大規模の捜査チームをウクライナに派遣した。ICCは首都キーウに事務所を開設したいとしている。
一方、ウクライナの裁判所は31日、民間人への攻撃で起訴されたロシア兵2人に禁固11年6カ月を言い渡した。
初めて戦争裁判にかけられたシシマリン(Vadim Shishimarin)被告は終身刑を言い渡されている。
東部ルハンシク州のセベロドネツクではロシア軍の猛攻が続いているとみられる。
同州のガイダイ(Serhiy Haidai)知事は31日、「セベロドネツクの70~80%がロシア軍に支配されている」と報告した。
ガイダイ氏によると、ロシア軍は戦闘に有毒ガスを使用した可能性があるという。
ロシアはルハンシク州とドネツク州の完全制圧を目指しているとみられるが、ウクライナ軍はこれに徹底抗戦し、一進一退の攻防が続いている。
ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領に対ロシア制裁の強化を求められているEUは、ロシア産原油の段階な禁輸にようやく合意した。これで、EU圏内で消費されるロシア産原油の約90%が制裁の対象となった。パイプラインで輸送される原油は対象外。
一方、ロシア国営ガスプロム社はデンマークとドイツのガス企業に対する供給量を減らすと発表した。両企業はルーブル建てを拒否していた。