◎スリランカは対外債務の処理に苦労している。
スリランカの地元メディアは31日、首都コロンボの大統領官邸近くで行われた抗議デモの参加者が警察の催涙ガス弾と放水砲に見舞われたと報じた。
報道によると、デモ隊は28日遅くにラジャパクサ(Gotabaya Rajapaksa)大統領の事務所近くに接近したという。
デモ隊は大統領府周辺で行っている野営抗議デモの50日目を記念する集会を行っていた。
機動隊は集会場に乗り込み、3人を一時拘束したと伝えられている。
地元メディアは情報筋のコメントを引用し、「一部の暴徒化したデモ隊が大統領官邸に火を放とうとした」と報じている。
暴徒化したデモ隊は今月初めの抗議で閣僚の自宅やラジャパクサ博物館などを焼き払っている。
スリランカは破産寸前の状態で、500億ドルにのぼる対外債務のうち70億ドル近くを年内に返済しなければならない。しかし、外貨準備は底をつき、債務不履行に陥っている。
国民は食料、調理用ガス、燃料、医薬品などの深刻な不足に悩まされている。コロンボの食料品店やガソリンスタンドには連日長蛇の列ができている。
地元メディアによると、外貨準備は2週間分の必需品を購入すると枯渇するレベルまで減少したという。
デモ隊はラジャパクサ大統領とラジャパクサ(Mahinda Rajapaksa)前首相が「無謀な減税」「外貨を獲得できない無駄な施設への投資」「意味不明な政策」、そして中国の「債務トラップ」に引っ掛かり、主要な港湾インフラを中国に引き渡し、国を借金漬けにしたと非難している。
一連の抗議は親ラジャパクサ派の襲撃事件で加熱し、暴動に発展しつつある。
親ラジャパクサ派は首都コロンボで5月9日に行われたデモを急襲した。この乱闘で少なくとも9人が死亡、数十人が負傷し、ラジャパクサ前首相は責任を取って辞任した。
一部のデモ隊は親ラジャパクサ派の暴力に激怒し、焼き討ち事件に発展したのである。
ウィクラマシンハ(Ranil Wickremesinghe)首相は国際通貨基金(IMF)の支援を得るために、近々経済改革計画を公表する予定。