◎チュニジアはこの10年間で3回目となる40億ドルの支援をIMFに求めている。
チュニジアの主要労働組合UGTT(チュニジア一般労働組合)は31日、一部の国営企業の民営化に反対する公共部門のストライキを6月16日に実施すると発表した。
UGTTはサイード(Kais Saied)大統領の統治に強く反対している。
一方、政府は国際通貨基金(IMF)の信頼を得るために、国営企業の再編を柱とする改革プログラムを提出している。
UGTTは声明の中で「サイード氏はこれまでの合意を反故にした」と非難し、インフレ率の急上昇と異常な物価高が続いていることに深刻な懸念を表明した。
またUGTTは、「インフレ抑制に向けた取り組みを政府と協議する交渉権を得る」ために、159の公共機関と国営企業のストライキを決行するとした。
UGTTは電力、燃料、リン酸塩、穀物セクターなどの民営化に強く反対している。
一方、政府は公務員の削減、一部の補助金の段階的削減、国営企業の再編を含む改革案をIMFに示している。
IMFはこれらの改革案を確実に実行するためには、UGTTを含む労働組合の理解を得る必要があるとチュニジア政府に指摘している。
サイード氏は昨年7月、政府のコロナ対策と経済政策の失敗を非難し、当時の首相を解任したうえで議会を一時的に停止し、自分の権限を強化した。サイード氏の強権的なやり方に反対する野党と活動家はこの措置をクーデターと非難し、各地で抗議デモを続けている。
サイード氏は今年3月に議会を解体している。議会選は12月に行われる予定。
チュニジアはこの10年間で3回目となる40億ドルの支援をIMFに求めている。
格付け会社フィッチ・レーティングスは30日、政府とUGTT間の緊張がIMFとの交渉を妨げていると懸念を示し、「UGTTの支持なしに改革案を採用することは困難」とした。
UGTTはサイード氏が立ち上げた国民対話に参加しないと表明している。