◎スリランカは対外債務の処理に苦労している。
2022年4月12日/スリランカ、首都コロンボで行われた抗議デモ(Getty-Images/AFP通信)

スリランカウィクラマシンハ(Ranil Wickremesinghe)首相は29日、首都コロンボの大統領府や議会周辺で抗議デモを続けている若者たちにも政治に参加してもらうと提案した。

ウィクラマシンハ氏は29日に放送されたテレビ演説の中で、「憲法改正により大統領の権限は大幅に見直され、議会の権限が強化される」と語った。

またウィクラマシンハ氏は、「議員、青年団、専門家で構成される委員会が経済危機に立ち向かい、導く」とした。「若者は既存のシステムを変えるよう求めています。また彼らは、危機に陥った理由と問題点を知りたがっています。私は15の委員会に若者の代表をそれぞれ4人ずつ任命すると提案します」

主に20代から30代で構成される抗議者は、2カ月近く大統領府前に陣取り、ラジャパクサ(Gotabaya Rajapaksa)大統領の辞任と政治システムの改革を要求している。

スリランカは破産寸前の状態で、500億ドルにのぼる対外債務のうち70億ドル近くを年内に返済しなければならない。しかし、外貨準備は底をつき、債務不履行に陥っている。

政府は食料、燃料、医薬品、調理用ガス、トイレットペーパー、その他のあらゆる輸入品の代金を支払えず、数カ月前から深刻な物資不足が続いている。

ウィクラマシンハ氏によると、15の委員会に参加する若者の代表4人のうち1人は「青年議会」と呼ばれる組織から任命され、3人は抗議団体や活動家組織から選出されるという。また同氏は、「人選は若者に任せる」としている。

地元メディアによると、主要な抗議団体や活動家は今のところコメントを出していないという。

経済危機などについて議論する委員会の設置は現行憲法でも可能だが、大統領の権限見直しなどのより広範な改革を行うためには、最高裁判所の承認と議会の3分の2以上の賛成が必要である。

マヒンダ・ラジャパクサ(Mahinda Rajapaksa)前首相は今月初めの暴動で9人が死亡したことを受け辞任したが、ラジャパクサ大統領は権力の座を守ると誓っている。

一連の争乱では政府高官の自宅やラジャパクサ博物館などが焼き払われ、数十人が死傷した。

ウィクラマシンハ政権は国際通貨基金(IMF)と救済交渉を続けている。

IMFはスリランカを支援すると約束しているが、まずは持続可能な債務処理計画を示す必要があるとしている。

ウィクラマシンハ氏はテレビ演説の中で、2週間以内に経済改革計画を公表すると述べた。

2022年5月12日/スリランカ、首都コロンボの大統領府、ラジャパクサ大統領(右)とラニル・ウィクラマシンハ氏(Sri Lankan President's Office/AP通信)
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