◎建設中の10階建て商業ビルの一部は23日に崩壊した。
イランの現地メディアは28日、南西部フゼスタン州アバダンで発生した商業ビル崩壊事故の現場近くで政府に抗議していたデモ隊が機動隊の催涙ガス攻撃を受けたと報じた。
建設中の10階建て商業ビルの一部は23日に崩壊した。
ファルス通信によると、これまでに29人の死亡が確認され、27日遅くに現場近くで抗議していたデモ隊と機動隊が衝突したという。
SNSユーザーがインターネットに投稿した複数の動画には、崩壊現場の近くで抗議する数百人のデモ隊が写っている。その中のひとつにはパニックに陥った群衆と機動隊の姿が映っていた。
撮影者の男性は「機動隊が撃った!」と叫び、走りながら「撃たないで!撃たないで!」と叫んでいる。
この取り締まりで負傷者が出たかどうかは分かっておらず、複数のテレビ局が発砲音を確認したと報じている。
フアルス通信はデモ隊の一部が暴徒化し、「機動隊は介入せざるを得なかった」と伝えた。
米国の経済制裁に苦しむイラン政府はビルの建設に関与したとされる少なくとも13人を逮捕したと伝えられているが、詳細はほとんど明らかにしていない。
26日に発表された政府公認のポップソング「Hello Commander(こんにちは司令官)」のリリースを記念する10万人規模の集会もデモ隊の怒りを煽ったとみられる。
SNSに動画を投稿した男性は、「アバダンは血を流しているのに、政府は歌を歌っている!」と叫んでいた。
イランでは手抜き工事と政府公認の汚職が蔓延している。政府は今回のビル建設でも「収賄、贈賄、手抜き」があったことを認め、市長を含む少なくとも13人を拘束した。
フゼスタン州以外の地域でも暴動が起きているとみられる。
国営イラン通信(IRNA)は28日、首都テヘランの市街地で何者かが警察官2人と民間人1人を銃撃したと報じた。
イラン学生通信(ISNA)はシスタンバルチスタン州で警察幹部が何者かに射殺され、その妻も負傷したと報じている。
イラン政府は銃の所持を認めておらず、厳しく管理している。
今月初めにはイラン革命防衛隊の幹部がテヘランの自宅前で射殺されている。イラン政府はこの事件をイスラエルの諜報機関か西側の犯行と主張している。