◎スリランカは対外債務の処理に苦労している。
スリランカ政府は29日、ゴタバヤ・ラジャパクサ大統領が弟のマヒンダ・ラジャパクサ首相の解任に合意したと発表した。
主要メディアはラジャパクサ大統領と会談した議員のコメントを引用し、「大統領は新首相と全政党からなる新内閣を発足するための国民評議会を設置することに合意した」と報じた。
野党は以前、挙国一致内閣を発足させるというラジャパクサ大統領の提案を拒否していた。
ラジャパクサ大統領は与党から離反した40人近くの議員らと会談したと伝えられている。
マヒンダ首相の報道官は29日、ラジャパクサ大統領はまだ首相の解任を公式承認していないとした。
スリランカは破産寸前の状態で、総額250億ドルの対外債務のうち70億ドル近くを今年中に返済しなければならない。外貨準備高は10億ドル以下を下回っている。
外貨不足は輸入を著しく制限し、人々は食料、燃料、調理用ガス、医薬品などの必需品を買うために何時間も並ぶことを余儀なくされている。
ラジャパクサ大統領とその一族は過去20年の大半、スリランカのほぼすべてを支配してきた。3月末頃から本格化した抗議デモを率いる団体はラジャパクサ兄弟の辞任を求めている。
28日には多くの企業がゼネストに参加に、公共交通機関や学校も閉鎖された。
ラジャパクサ大統領は大急ぎで内閣を改造し、抗議デモを鎮めるために挙国一致内閣を発足したいと野党に提案したが、野党は兄弟に辞任を求め、提案を拒否した。
ラジャパクサ一族の大臣3人は辞任したが、議員辞職はしていない。デモ隊は政界追放を求めている。
ラジャパクサ兄弟は「無謀な減税」「外貨を獲得できない(採算の合わない)無駄な施設への投資」「意味不明な政策」を推進することで債務を積み重ねたと非難されている。
同国の財務相は英BBCニュースのインタビューの中で減税は失敗だったと認め、消費税を引き上げるしかないと提案している。