◎国民議会は9日、イムラン・カーン氏の不信任決議を賛成多数で可決した。
2022年4月11日/パキスタン、首都イスラマバードの議会議事堂、首相に就任したパキスタン・イスラム教徒連盟シャリフ派のシャバズ・シャリフ総裁(Press Information Department/AP通信)

パキスタンの首都イスラマバードで11日、イムラン・カーン前首相の解任に反対する抗議デモが開催され、数万人が参加した。

一方、国民議会は同日、最大野党パキスタン・イスラム教徒連盟シャリフ派のジャバズ・シャリフ氏を新総裁に指名した。

ロシアと中国寄りの外交政策を展開したカーン氏は、ウクライナ侵攻を非難する国連安保理決議を棄権し、侵攻開始日の2月24日にロシアを訪問しプーチン大統領と会談したことなどで多くの批判を浴び、不信任決議により失職した。

イスラマバードのデモに参加した女性はAP通信の取材に対し、「カーン首相は正直な男だと思う」と語った。「彼は唯一信頼できる政治家であり、私たちは裏切り者の野党の支配に反対し続けます」

カーン氏は自分を追放したい米国が野党と共謀していると繰り返し主張している。野党はこの主張に反発し、カーン氏は権力を維持するために国民に誤った情報を伝えたと非難している。

ほとんどの専門家も、カーン氏は米国がパキスタン大使に送った公電を誇張していると指摘している。米国はカーン氏のロシア訪問に懸念を表明していた。

しかし、カーン氏の訴えは支持者の共感を呼び、イスラマバードのデモ隊は「米国の友人(野党)は裏切り者だ」と抗議した。

デモ会場近くの公園にはカーン氏を支持する若い男女が大挙して押し寄せた。

ある男性はアルジャジーラに、「野党の奴隷にはならない」と訴えた。「あいつらは米国と共謀して貧乏人を刑務所に入れようとしています...」

一部の抗議者は国軍の高官に怒りを向けた。

カーン氏は核兵器を保有する強力な軍を頻繁に称賛し、軍高官の支持を得たことで首相の座を射止めたと信じられている。しかし、両者の関係はカーン氏が昨年、情報機関の新長官の任命を拒否したことなどで悪化したと伝えられている。

ソーシャルメディアには陸軍大将の辞任を求める動画やスローガンが多数投稿されている。

カーン氏の連立政権から離党した議員らは軍を「中立」と表現している。しかし、一部の支持者は「軍はカーン氏を見捨てた」「軍が追放に関与した」などと主張している。

カーン氏と軍の関係を批判してきた人々は、しばしば情報機関から嫌がらせを受けてきた。

一部の専門家はカーン氏の支持者の軍批判を歓迎している。ある専門家は「支持者は文民統制を維持するという新たな信念を見出した」と指摘した。

一方、カーン氏の与党「パキスタン正義運動」は11日、シャリフ氏の指名投票に先立ち一斉に辞職し、議会を後にした。

シャリフ首相は演説の中で、最低賃金の設定、公務員の賃上げ、農村開発計画などの政策を実施すると発表した。

シャリフ首相は米国から距離を置き、中国ロシアに接近したカーン氏の政策を見直す可能性が高いと考えられている。

2022年4月10日/パキスタン、首都イスラマバード、カーン前首相の解任に反対する抗議デモ(ロイター通信)
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