◎野党は4月3日に不信任決議案を提出したが、カーン首相は解任されることを察知し、議会を解散した。
パキスタンのイムラン・カーン首相は8日、不信任決議が採択されたとしても首相の座にとどまり、野党政権を認めないという考えを示した。
カーン首相は9日に行われる不信任投票に先立ち、支持者に平和的な抗議デモで野党に圧力をかけるよう呼びかけた。
しかし、カーン首相の連立政権は議会の過半数を失っており、敗れる見込みである。
野党は3日に不信任決議案を提出したが、カーン首相は解任されることを察知し、議会を解散した。
野党はこれに反発し、最高裁に異議を申し立て、判事は7日、政府の解散を違憲と裁定し、不信任投票が行われることが決まった。
カーン首相は不信任投票に応じなければならないという最高裁の決定を受け入れると述べたが、米国が野党の陰謀を後援しているという以前の主張を繰り返した。
カーン首相はロシアと中国寄りの外交政策を展開しており、ロシア・ウクライナ戦争を非難する国連安保理決議を棄権し、侵攻開始日の2月24日にロシアを訪問しプーチン大統領と会談したことで多くの批判を浴びている。
バイデン政権はカーン首相の主張を否定している。
多くの専門家がカーン首相は核兵器を保有する強力な軍部の後援を受け頂点に立ったと指摘している。しかし、両者の関係はカーン首相が昨年、情報機関の新長官の任命を拒否したことなどで悪化したと伝えられている。
連立政権のパートナーもカーン首相を見捨てた。
カーン首相は8日の演説で不信任投票を「外資系ドラマ(米国関与)」と呼び、支持者に抗議するよう呼びかけた。「私はパキスタンに対する外国の陰謀を決して受け入れません。私は皆さんと一緒に戦うつもりです」
野党のシャリフ党首は7日、最高裁が「パキスタンと憲法を救った」と述べた。
野党議員は3日、カーン首相の解任を要求する不信任決議案を議会に提出した。
しかし、カーン派閥のスリ副議長は「外国政府の干渉を示す証拠がある」として投票を拒否し、議会を解散した。またスリ副議長は、「決議案は国家への忠誠を誓う憲法に反する」と野党を厳しく非難した。
野党は投票阻止とスリ副議長の発言に激怒し、一部の議員は投票阻止を「反逆罪」に相当すると断じた。
野党は解散を阻止するために最高裁に嘆願書を提出し、支持者に結束を呼びかけた。
最高裁は7日、不信任投票を阻止するための解散は違憲であると裁定し、4月9日に投票を行うよう命じた。
首都イスラマバードの最高裁周辺に集まった野党支持者は花火を打ち上げ、南部カラチではカーン首相の解任を祝うダンスイベントが開催された。
カーン首相はロシアと中国関連の問題で西側につくことを拒否した結果、米国が自分を排除するために野党勢力と結託していると主張している。
クリケットの元スター選手はまもなく解任される予定である。
カーン首相の解任が決まった場合、過半数を保持する野党連合は新首相を任命し、次の選挙(2023年10月)まで国を運営すると見込まれている。
一部の地元メディアは、「カーン首相は解任の屈辱を避けるために辞任する可能性がある」と報じている。