◎「西側の制裁は宣戦布告に等しい。しかし、”そのような事態”には至っていないことを神に感謝したい…」
3月5日、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領はウクライナ侵攻をめぐる欧米諸国の制裁を「宣戦布告に等しい」と評し、西側に圧力をかけた。
プーチン大統領はモスクワ近郊にあるアエロフロート・ロシア航空の訓練センターで記者団に「神に感謝したい」と語った。「西側の制裁は宣戦布告に等しい。しかし、”そのような事態”には至っていないことを神に感謝したい...」
またプーチン大統領は、「ウクライナ上空に飛行禁止区域を設ける試みは紛争に参加したものと見なされる」と警告したうえで、戒厳令を出すという見方を否定した。
2月24日の侵攻開始以来、西側諸国はプーチン大統領や政府高官の資産を凍結し、国際決済システムSWIFTからロシアの銀行を締め出すなど、多くの制裁を科している。
さらに、多くの多国籍企業がロシアでの事業を停止し、5日にはZARA、PayPal、サムスン電子がロシアでの取引を停止すると発表した。
制裁の影響でルーブルの価値は急落し、ロシア中央銀行は政策金利を20%に引き上げている。
プーチン大統領は5日の発言であらためてウクライナ侵攻を正当化し、ウクライナの非軍事化と脱ナチスを達成することでロシア人コミュニティを守ろうとしているという以前の主張を繰り返した。
プーチン大統領は西側の専門家がロシア軍の作戦は予想よりもうまくいっていないと指摘していることについて、「我が軍はすべての任務を果たすだろう」と述べた。「私は成功を確信している。すべて計画通りに進んでいる...」
また、侵攻に参加しているのは職業軍人だけであり、民間人が徴兵されているという噂をプロパガンダと呼んだ。
ウクライナのゼレンスキー大統領はNATO(北大西洋条約機構)にウクライナ上空を飛行禁止区域に設定するよう要請したが、NATOはロシアとの全面戦争を避けるためにこの要請を却下した。
プーチン大統領は、「西側の指導者は自分たちがしていることを続ければ、ウクライナの将来を危険にさらすことになると理解する必要がある」と警告した。
またプーチン大統領は戒厳令を出す予定はないと述べ、「戒厳令は外部からの侵略があった場合や、定義された特定の条件を満たしたときのみ出される」と強調した。
そしてプーチン大統領は、「現在、我々はそのような状況にはないし、そうならないことを望んでいる」と西側を強くけん制した。
ロシア国内ではまもなく戒厳令が出るという噂が流れ、フィンランド行きの鉄道チケット価格が高騰し、国境検問所もひどく混雑しているようである。
外交で問題を解決しようとする動きは戦争開始後も続いている。
イスラエルのナフタリ・ベネット首相は5日、モスクワでプーチン大統領と約3時間会談した。
その後、ベネット首相はドイツに飛び、オラフ・ショルツ首相と会談した。
イスラエルは米国の重要な同盟国のひとつだが、ベネット首相はロシアとの良好な関係も維持したいと考えている。ウクライナのゼレンスキー大統領はユダヤ人であり、イスラエルに調停を要請していた。
米国のブリンケン国務長官はウクライナのクレバ外相と会談し、その後両者はポーランドとウクライナの国境付近を視察した。