コンテンプト・オブ・コート 7-17

アンカレッジ郊外。

幹線道路から外れた一角に、古い倉庫が建っていた。周囲には資材置き場や使われなくなった工場が点在している。夜間に人が出入りすることはほとんどない。

倉庫の前に黒いバンが停まった。

エンジンが切れると、運転席と助手席のドアが開いた。男たちが降り、周囲を確認する。道路に車の姿はなかった。

後部のスライドドアが開く。

床にはカーターが横たわっていた。頭は横に傾き、腕は力なく身体の脇に落ちている。目は閉じられ、呼びかけにも反応しなかった。

「こいつ、まだ起きないのか」

後部座席にいた男が、カーターの肩を軽く揺すった。

「薬が効いてる。しばらくは目を覚まさない」

「店ではずいぶん暴れたらしいな」

「最初だけだ。あとは大したことなかった」

男はカーターの顔を見下ろした。額には傷があり、口元には乾いた血が残っていた。

「運べ」

二人の男がカーターの両腕を取り、バンから引きずり出した。足が地面に触れ、靴底が砂利をこする。男たちは身体を支え直し、倉庫の入口へ向かった。

扉の前で、一人が鍵を取り出した。

重いシャッターが開く。金属が擦れる音が、夜の静けさに響いた。

倉庫の内部には、作業台や工具棚、古い機械類が残されていた。天井から吊るされた照明は一部しか点いていない。奥には簡易な椅子と机が置かれ、その周囲に箱が積まれている。

男たちはカーターを中へ運び込んだ。

「どこに置く?」

「奥だ。床に寝かせておけ」

カーターの身体が床に下ろされた。頭がわずかに揺れたが、目を開けることはなかった。

一人がしゃがみ込み、首元に手を当てる。

「生きてる」

「当たり前だ。まだ聞くことがある」

男は立ち上がり、上着のポケットから携帯電話を取り出した。画面を確認する。着信はなかった。

「市長には?」

「連絡は済んでる。今は余計な報告をするなと言われた」

「何を聞き出すつもりなんだ?」

「資料のことだろう。ほかにも知っていることがあるかもしれない」

別の男が倉庫の入口へ戻り、外を確認した。バンの後部ドアが開いたままだった。

「車を片づけてくる」

男は倉庫を出た。残った二人はカーターのそばに立ち、しばらく様子を見ていた。

「警察にいた頃は、ずいぶん威張っていたらしいな」

「今はただの捕虜だ」

男はカーターのポケットを調べ、何もないことを確認した。携帯電話も財布も見当たらない。

「持ち物は車にあるのか?」

「知らん。後で確認すればいい。こいつは終わりだ」

男は机の上に置かれた水のボトルを手に取り、一口飲んだ。

倉庫の外でバンのエンジンが始動した。車が動き出し、やがて音が遠ざかっていく。

倉庫の中に残ったのは、薄い照明と機械の匂い、そして床に横たわるカーターだけだった。

男たちは椅子を引き寄せ、カーターが目を覚ますのを待った。

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