コンテンプト・オブ・コート 7-16
深夜。事務所の照明はすべて点いていた。
机の上にはカーターが残した資料が広げられている。マイク、ローリー、エイダンとその部下たちは、それぞれ書類を手に取り、記載された会社名や人物名を確認していた。
マイクは一枚の資料を持ち上げた。
「まず、こいつを見てくれ」
全員の視線が集まる。
「ハミルトン・ナショナル・バンクのドミニクCEO、こいつはコールの金庫番だ。コールは市長になるにあたり、テラ・インフラテックの持ち株を売却する。その手続きと資金管理を担当するのがドミニクだ」
マイクは資料を机に置いた。
「カーターが集めた記録によると、ドミニクはテラ・インフラテックの資金管理にも深く関わっている。銀行の融資記録や関連企業の取引を調べれば、コールの資金の流れが見えてくる可能性がある」
ローリーは別のファイルを開いた。
「ここにある会社の多くは、土地の取得や再開発事業に関係しているわ。登記上の役員は違っていても、同じ銀行や法律事務所が関与している」
「表向きは別々の会社でも、資金の出どころが同じなら話は変わる」
マイクは資料の一部を指で押さえた。
「コールは会社を使い分けている。土地を安く買い、別の会社に移し、再開発の名目で価値を上げる。その過程で誰が利益を得たのか。そこを突き止める必要がある」
「銀行の記録が手に入れば、かなり分かるんじゃない?」
ローリーが尋ねた。
「簡単にはいかない。銀行には顧客情報を守る義務がある。捜査機関が調べるにしても、正当な手続きと根拠が必要だ。今ある資料だけで不正を立証できるわけじゃない」
エイダンは手元の書類を閉じた。
「会社の関係者から話を聞く方法もある。表に出ている人間だけじゃなく、実際に金を動かしている連中を探す」
「接触するなら慎重にやれ。相手に気づかれれば、資料を隠される可能性がある」
その時、事務所のドアが開いた。
ジムが入ってきた。外の冷気をまとったまま、室内を見回す。マイクは彼の顔を見て、椅子から立ち上がった。
「どうだった?」
ジムは首を横に振った。
「カーターは見つからない」
ローリーが手を止めた。
「どこにもいなかったの?」
「ああ。立ち寄りそうな場所を確認した。知り合いにも当たったが、誰も行き先を知らない。車の目撃情報もない」
「連絡は?」
「ない」
ローリーはマイクを見た。
「コールより先に見つけないと」
マイクは返事をせず、机の上の資料を見下ろした。カーターが残した箱。そこに収められた記録は、コールの周辺を調べるための重要な手掛かりだった。だが、資料を残した本人がどこにいるのか分からない。
マイクは手にしていた書類を置き、ジムとエイダンを見た。
「彼が最優先だ」
エイダンがうなずいた。
「俺が探す。お前は皆に概要を説明しろ」
「見つけたら、すぐに連絡してくれ」
エイダンが上着を手に取る。ジムもすぐに動けるよう、携帯電話を確認した。
ローリーはマイクのそばに立った。
「何かあったのかしら」
「分からない。だが、カーターが自分から連絡を絶ったとしても、放っておくわけにはいかない」
「彼はコールに会いに行ったはずよ」
マイクは机の上の資料を一度見渡した。コールの資金、企業、土地取引。その全体像を明らかにすることも重要だった。しかし、今はカーターを見つけることが先だった。
