コンテンプト・オブ・コート 6-18
アンカレッジ刑務所。面会室には固定されたテーブルと椅子が並び、壁際の監視カメラが室内を映していた。扉の外には看守が立っている。
マイクとローリーが入ると、カーターは椅子に座ったまま顔を上げた。
「遅いじゃないか」
「いろいろあってね」
マイクは向かいに腰を下ろした。ローリーも隣の椅子を引いた。
「動画の件、詳しく話して」
ローリーが言った。
カーターは二人を見比べた。顔には疲労が残っていたが、目には以前のような反抗的な色はなかった。
「市長が殺害された現場を誰かが捏造していた。証拠を作り、現場を細工していた」
「それで、あなたを犯人に仕立てたのね」
「ああ。俺が現場にいたように見せかけたんだ。映像があれば、俺が殺したんじゃないと証明できる。だが、あの男は親切心で見せたわけじゃない。俺を釈放させる代わりに、また自分の言いなりにするつもりだった」
マイクは腕を組んだ。
「だから、お前に電話した。映像がなくても勝てるかと聞いた。お前の答えを聞いて決めた。コールの手を借りるつもりはない」
カーターは一度言葉を切り、テーブルに目を落とした。
「だが、ひとつ失敗した」
ローリーが尋ねた。
「何を?」
「映像を見た時、頭に血が上っていた。自分を陥れた証拠を見せつけられたと思ったら、冷静じゃいられなかった。捏造している人間が映っていたのに、顔をよく見なかった」
「顔を確認できなかったの?」
「はっきりとはな。今になって後悔している。あの場で落ち着いて見ていれば、名前を挙げられたかもしれない」
カーターは拳を握った。指の節が白くなる。
「ただ、ひとつ覚えている」
マイクが身を乗り出した。
「何だ?」
「トラックだ」
「トラック?」
ローリーが聞き返した。
「現場に停まっていた。映像の端に映っていたんだ。あれが何か分かれば、捏造した人間を追えるかもしれない」
「どんなトラックだった?」
「細かいところまでは覚えていない。配送業者の車だと思う。少なくとも、警察車両じゃなかった」
マイクはローリーと目を合わせた。
「配送業者か……」
マイクは椅子から立ち上がった。
「車両を特定する。会社が分かれば、運転手や記録をたどれる」
「映像そのものは手に入るのか?」
カーターが尋ねた。
「動画はコールの切り札だ。渡すわけない。だから、別の角度から攻める」
マイクは看守に目を向け、面会の終了を告げられる前にドアへ向かった。
ローリーは立ち上がり、カーターを見た。
「あなたが現場を捏造した人間を見落としたのは分かった。でも、今度は私たちが見つける。あなたの無実を証明するために」
カーターは短くうなずいた。
二人は面会室を出た。廊下を歩きながら、ローリーは母親のことを考えた。カーターが何を知っているのか。あの謝罪は何を意味していたのか。
だが、今は追及しない。
彼女は考えを切り替え、マイクの隣に並んだ。
「事務所に戻りましょう」
「急ごう。公判まで時間がない」
マイクは歩調を速めた。
手掛かりは、現場に停まっていた一台のトラックだけだった。だが、それを突き止めれば、捏造の証拠にたどり着ける可能性がある。
二人は刑務所を出た。
