コンテンプト・オブ・コート 5-3
アンカレッジ。
マイクの事務所。
ドアが開き、マイクとローリーが戻ってきた。
室内ではエイダンがソファに座っていた。机の上には書類が積まれ、空になったコーヒーカップが置かれている。
エイダンが二人を見る。
「お帰り」
マイクはコートを脱ぎ、椅子の背に掛けた。
エイダンはマイクの顔を見る。
「裁判官とCEOは、さぞ驚いただろうな」
マイクは机の上の資料を揃えた。
「そうだな」
エイダンは笑った。
「連中にとっては、面白くない一日だったはずだ」
「本当の勝負はこれからだ」
マイクは椅子に座った。
エイダンが訪ねる。
「ブローカーは?」
「検察が取り調べている」
「口を割ると思うか?」
マイクは窓の外に目を向ける。
「分からない。だが、あいつが何を知っているか、コールも気にしているはずだ」
エイダンは腕を組んだ。
「吐く前に消されるかもしれないな」
「その可能性はある」
「検察は守りきれるか?」
「さあな。あいつらが本気で守る気があるかどうかも分からない」
エイダンは短く息を吐いた。
「厄介だな」
マイクは机の引き出しを開け、資料を一冊取り出した。
市長殺害事件の捜査記録だった。
「いずれにせよ、やるべきことをやるだけだ」
エイダンは頷いた。
「俺たちはブローカーと殺し屋のことをもう一度調べる」
ローリーは二人の会話を黙って聞いていた。
鞄を机の脇に置き、手にしていた資料を自分の机へ移す。
「ローリー」
マイクが呼びかけた。
「何?」
「どこへ行く?」
「少し外に出るわ」
「今から?」
「そうよ」
ローリーは資料を机に置いた。
「あなたたちの話を聞いていても、分からないことばかりだから」
マイクは何も言わなかった。
ローリーはコートを手に取った。
「ブローカーのことも、コールのことも、あなたが何を知っているのかも。少し考えたいの」
「そうか」
「それだけ?」
「何と言えばいい?」
ローリーは呆れたように息を吐いた。
「本当に、あなたって人は……」
それ以上は言わなかった。
ドアを開け、事務所を出る。
扉が閉まった。
エイダンがマイクを見る。
「放っておいていいのか?」
マイクはローリーが出ていったドアを見ていた。
エイダンが続ける。
「何か考えがあるのか?」
「ある」
エイダンは尋ねなかった。
マイクは机の上の捜査資料を開いた。
市長殺害事件。
凶器。
血液。
指紋。
靴跡。
証人の供述。
エイダンが立ち上がり、ドアに向かう。
「何かあれば連絡しろ」
「ああ」
エイダンは事務所を出た。
一人になったマイクは、しばらく資料を見つめていた。
やがて立ち上がり、コートを手に取る。
ローリーと話す必要があった。
