コンテンプト・オブ・コート 4-11
アンカレッジ。
ローリーは車をゆっくり走らせていた。
マイクの事務所の近くまで来たところで、前方に黒いセダンが見えた。
一台。
その少し先に、もう一台。
二台とも道路脇に停まっている。
ローリーは速度を落とした。
黒いセダンの横を通り過ぎる。
車内は暗い。
誰が乗っているのか分からない。
ローリーはそのまま建物の前を通過した。
バックミラーを見る。
黒いセダンは動かなかった。
ローリーは少し先で車を止めた。
エンジンを切る。
もう一度、建物の方を見る。
黒いセダンが見える。
「……何なの?」
ローリーは車から降りなかった。
しばらく様子を見る。
人が降りてくる気配はない。
ローリーは携帯電話を取り出した。
マイクに電話をかける。
呼び出し音が鳴る。
出ない。
もう一度かける。
やはり出ない。
「出ない……」
ローリーは電話を切った。
黒いセダンを見る。
一台の窓に、わずかに光が見えた。
携帯電話の画面かもしれない。
ローリーは目を細めた。
だが、距離がありすぎて確認できない。
ローリーは車を降り、建物へ向かったところで足を止めた。
二台のセダンが気になった。
ローリーはもう一度マイクへ電話をかけた。
今度も出ない。
「……何してるのよ」
ローリーは携帯電話をポケットに入れた。
しばらく建物を見た。
四階の窓には明かりがついている。
マイクは中にいるらしい。
ローリーは建物へ入るのをやめた。
車へ戻り、運転席に乗り込む。
エンジンをかける。
発進する前に、最後に一度だけ黒いセダンを見る。
ローリーは車を走らせた。
交差点を曲がる。
バックミラーから建物が消える。
その直後だった。
黒いセダンの一台が、ゆっくりと動き始めた。
反対側へ進んでいく。
もう一台は、その場に残った。
建物の四階には、まだ明かりがついていた。
