コンテンプト・オブ・コート 1-40
マイクは別の部屋へ逃げ込んだ。
部屋の奥に窓がある。
背後から足音が近づいてくる。
「探せ!」
男の声が響いた。
マイクは窓へ走った。
鍵を外す。
窓を開けると、冷たい風が吹き込んできた。
下を見る。
四階。
地面が遠い。
だが、迷っている時間はなかった。
背後で扉が開く。
「いたぞ!」
マイクは窓枠によじ登った。
足を外へ出す。
そのまま窓から飛び出した。
体が落ちる。
風が顔に当たる。
マイクはそのまま落下した。
建物の裏にはゴミ捨て場があった。
体がゴミ袋の山に突っ込んだ。
大きな音がした。
ゴミ袋が破れ、空き箱や古い布が周囲に散らばる。
マイクは動かなかった。
数秒後、目を開ける。
息をする。
手を動かす。
足も動く。
立ち上がろうとした。
全身が痛い。
それでも、立った。
建物を見上げる。
四階の窓から男が下を見ている。
マイクはすぐにゴミ捨て場の陰へ身を隠した。
道路を見る。
高級セダンが止まっている。
後部座席のドアが開いた。
人が降りた。
マイクはその顔を見た。
知らない人物だった。
その人物は周囲を確認したあと、コールのいる事務所へ向かった。
コールも外へ出てくる。
二人が向かい合った。
コールが何かを話す。
人物は黙って聞いている。
マイクには会話の内容までは分からなかった。
コールの部下も外へ出てきた。
人物が何かを告げる。
コールが短く答える。
二人の間には、普通の雇い主と部下とは違う緊張があった。
マイクは物陰から見ていた。
誰なのかは分からない。
だが、コールがその人物に対して慎重に接していることだけは分かった。
やがて、その人物は高級セダンへ戻った。
後部座席のドアが閉まる。
セダンはその場に残った。
コールは事務所へ戻っていく。
マイクは建物の裏から離れた。
足を引きずりながら路地へ入る。
母親の姿が頭に浮かんだ。
「お母さん……」
声が漏れた。
立ち止まる。
戻ることはできない。
戻れば捕まる。
マイクは前を向いた。
路地の先へ歩き出す。
背後から足音が聞こえた。
マイクは振り返る。
誰もいない。
また歩き出す。
足が痛い。
それでも走った。
建物から離れる。
道路へ出た。
前方にパトロール中の警察車両が見えた。
マイクはその方向へ走った。
