コンテンプト・オブ・コート 1-39
事務所の前で、高級セダンが止まった。
エンジンはかかったままだった。
コールは窓の外を確認すると、携帯電話を取り出した。
「来たか」
コールは電話をかけた。
「今どちらで? メモリーカードを見つけました。弁護士と子どもはどうしますか?」
コールは黙って聞いていた。
その間、マイクはコールのポケットを見た。
さっきコールが入れたメモリーカードが、そこにある。
マイクはリサを見る。
リサは部下に腕をつかまれたまま、マイクを見ていた。
目が合った。
リサが小さく首を振る。
動くな。
マイクは動かなかった。
コールは電話を続けている。
「はい。分かりました」
コールの注意が外へ向いている。
マイクは一歩ずつ近づいた。
コールの背後まで来る。
手を伸ばす。
コールのジャケットのポケットに指を入れた。
カードに触れた。
マイクは息を止める。
指先でカードをつまみ、ゆっくり引き抜いた。
コールは気づかない。
マイクはカードを握った。
だが、隠す場所がない。
考える時間もなかった。
マイクはカードを口に入れた。
そのまま飲み込む。
コールが電話を切った。
「……分かりました」
携帯電話をしまう。
コールが振り返った。
マイクは何事もなかったように立っていた。
コールはマイクを見る。
それから、自分のポケットに手を入れた。
何もない。
表情が変わった。
「カードは?」
マイクは答えない。
コールがマイクに近づく。
「メモリーカードはどこだ?」
沈黙。
コールはマイクの口元を見た。
「飲み込んだのか」
マイクは後ずさった。
コールは部下を見る。
「取り出せ」
男がマイクに近づいた。
「嫌だ!」
マイクが逃げようとする。
男はマイクの腕をつかんだ。
「離せ!」
男がマイクを押さえ込もうとする。
リサが叫んだ。
「やめて!」
リサが男に体当たりした。
男の体がよろめく。
リサはマイクの前に立った。
「その子には何もしないで!」
コールが銃を抜いた。
銃口がリサに向く。
「どけ」
「嫌よ」
「そこをどけ」
「マイクには何もしないで!」
リサは動かなかった。
「カードはもうない。あの子が飲み込んだ。だから、あの子には手を出さないで」
コールは無言でリサを見た。
「最後に聞く。どけ」
「嫌」
銃声が響いた。
リサの腹部に銃弾が入った。
「お母さん!」
リサの体が後ろへ揺れる。
両手で腹を押さえた。
指の間から血が流れる。
その場に膝をついた。
マイクはリサに駆け寄ろうとした。
だが、男に腕をつかまれた。
「離せ!」
リサが顔を上げる。
「マイク……」
声が小さい。
マイクは男の腕を振りほどいた。
「お母さん!」
リサに近づこうとする。
コールが銃を向けた。
「捕まえろ」
男がマイクを追う。
マイクは走った。
事務所の奥へ逃げ込む。
背後から足音が迫ってくる。
「逃がすな!」
マイクは振り返らなかった。
目の前に別の部屋の扉があった。
マイクは扉を開け、中へ飛び込んだ。
