SHARE:

コンテンプト・オブ・コート 1-24

アンカレッジ連邦地方裁判所。

開廷前の法廷。

傍聴席にローリーとトーマスが並んで座っていた。

トーマスは前方の法廷を見ている。

ローリーは膝の上に両手を置いたまま、黙っていた。

法廷内では職員や弁護士が行き来している。

ローリーはしばらく前方を見ていた。

そして、口を開いた。

「お父さん」

「何だ?」

「話しておきたいことがある」

トーマスがローリーを見る。

「私、六か月の業務停止になったの」

トーマスの表情が変わった。

「業務停止?」

「うん」

「いつ決まった?」

「ニューヨークで」

「どうして今まで言わなかった?」

ローリーは少し黙った。

「言えなかった」

「俺に?」

「お父さんに」

トーマスは何も言わなかった。

ローリーは前を向いた。

「ごめん」

「謝るな」

「でも……」

「それで、これからどうする?」

「六か月間は弁護士として仕事ができない」

「そうか」

トーマスは法廷の正面に視線を戻した。

「マリベル判事に合わす顔がない」

ローリーは前を向いたまま答えた。

「判事は理解してくれる……」

「本当にか?」

「うん」

ローリーは小さく息を吐いた。

「判事なら理解してくれる……」

少し離れた傍聴席に、マイクが座っていた。

マイクは二人の方を見なかった。

だが、会話は聞いていた。

法廷の前方で職員が動き始める。

開廷の時間が近づいていた。

この記事が気に入ったら
フォローしよう
最新情報をお届けします
あなたへのおすすめ