コンテンプト・オブ・コート 1-22
四階の部屋には酒の匂いが残っていた。
机の上には空になったグラスがいくつか並んでいる。
マイクとエイダンは向かい合って座っていた。
二人とも顔には殴り合いの跡が残っている。
エイダンの部下たちは、その周囲に立っていた。
マイクはグラスを置いた。
「エイダン」
「何だ?」
「一緒に働かないか?」
エイダンがマイクを見る。
「俺たちと?」
「ああ」
「何の仕事だ?」
「弁護士事務所の仕事だ」
「俺たちが弁護士になるのか?」
「そうは言ってない」
エイダンが笑った。
「じゃあ何をする?」
「俺が仕事を取る。お前たちには、その仕事を手伝ってもらう」
「随分と大雑把だな」
「まだ始めたばかりだからな」
エイダンはグラスを持ち上げた。
「給料は?」
「払う」
「いくら?」
「仕事の内容を見て決める」
「契約書は?」
「これから作る」
エイダンはマイクを見ながら笑った。
「事務所も今日決めたばかり」
「ああ」
「仕事もない」
「ああ」
「金も決まってない」
「ああ」
「それで俺たちを誘うのか?」
「そうだ」
エイダンはしばらく黙った。
部下の一人が口を挟もうとしたが、エイダンが手を上げて止めた。
そして、マイクを見る。
「暴力弁護士と一緒に大儲けしたいと思っていたんだ」
皮肉だった。
マイクは表情を変えない。
「じゃあ、やるか」
エイダンが吹き出した。
「今のが皮肉だって分からないのか?」
「分かってる」
「それで、その返事か?」
「嫌なら断ればいい」
エイダンはグラスを机に置いた。
「お前、変な奴だな」
「よく言われる」
エイダンは部下たちを見る。
「お前らはどうする?」
部下の一人が肩をすくめた。
「ボスがやるなら、俺もやりますよ」
別の男も頷いた。
エイダンは再びマイクを見る。
「面倒な仕事になりそうだ」
「そうでもない」
「お前が言うと信用できないな」
マイクは笑った。
「明日から仕事だ」
「その顔で?」
「お互い様だ」
エイダンは腫れた頬を指で触った。
「確かにな」
二人はグラスを持ち上げた。
軽くぶつける。
四階の古い部屋には、まだ事務所の名前もなかった。
依頼人もいない。
仕事もない。
だが、その夜、マイクの事務所には最初の仲間が加わった。
