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ブラジルが世界の「流行」に、Brazilcoreから音楽、映画、観光へ広がる文化ブーム

現在のブームの起点として挙げられるのが、2023年ごろから世界的に広がった「Brazilcore(ブラジルコア)」だ。
2026年9月4日/ブラジル、リオデジャネイロのビーチ(AP通信)

ブラジルがいま、世界的な注目を集めている。緑、黄色、青のブラジル国旗を思わせる服装が海外のファッション市場に広がるだけでなく、音楽、映画、ダンス、スポーツ、観光など幅広い分野でブラジル文化への関心が高まっている。ブラジル人が時折口にする「ブラジルが流行している」という言葉が、2026年は現実のものとなりつつある。

現在のブームの起点として挙げられるのが、2023年ごろから世界的に広がった「Brazilcore(ブラジルコア)」だ。ブラジル国旗の色やサッカー文化、開放的な服装を取り入れたファッションで、バッド・バニー、エミリー・ラタコウスキー、ヘイリー・ビーバー、サブリナ・カーペンターら著名人も取り入れた。ビキニやマイクロショーツ、かぎ針編みの服、サッカージャージなど、鮮やかな色彩と肌を見せるスタイルが世界のファッション市場で存在感を増している。

この流れはファッションだけにとどまらない。ザラやH&Mなどの大手ファストファッション企業が緑や黄色を使った商品を展開する一方、シャネル、ジル・サンダー、スキャパレリなどの高級ブランドもブラジルの国旗や文化を意識したデザインを取り入れている。ブラジルらしさを意味する「Brasilidade(ブラジリダーデ)」が、単なる一時的な服装の流行から、文化そのものを消費する世界的な現象へ変化している。

観光もブームの恩恵を受けている。ブラジルを訪れた外国人観光客は2025年に900万人を超え、2024年から37%増加した。リオデジャネイロでは、SNSで拡散されたファベーラやビーチ、パーティーの映像が外国人を呼び込み、特にロシーニャではブラジルカラーの服を着た観光客が展望台に立ち、ドローンで街並みと自分自身を撮影する動画が人気となっている。SNS上の映像そのものが観光商品の一部になっている格好だ。

世界的な音楽スターの存在も大きい。マドンナ、レディー・ガガ、シャキーラは2024年から2026年にかけてリオのコパカバーナ海岸で無料公演を行い、それぞれ100万人規模の観客を集めた。ブルーノ・マーズもブラジルのファンク音楽や街の文化を取り入れた動画を公開し、インスタグラムで1300万を超える「いいね」を獲得した。ブラジル人歌手アニッタのファンク音楽も国際的な注目を集めている。

映画も存在感を高めている。ブラジル映画は国際的な映画賞の舞台で評価され、「I'm Still Here」や「The Secret Agent」といった作品が世界の観客から注目を集めている。音楽や映画を通じてブラジル文化が国境を越えることで、政府が観光や文化発信を通じて得ようとしてきた「ソフトパワー」も強まっている。

背景には、ブラジル国内のSNS利用の活発さもある。人口2億人を超えるブラジルは世界有数のインターネット大国で、利用者は文化やユーモア、音楽を瞬時にミームや新しい表現へ変えて拡散する。TikTok側もブラジル人の高いエンゲージメントを重要な特徴として評価しており、国内で生まれた文化がSNSを通じて海外へ伝わる速度を押し上げている。

一方、今回のブームを一過性の流行と見る向きもある。専門家は大統領選挙における政治的対立が再び強まれば、ブラジル国旗の緑と黄色が現在のような「楽しさ」の象徴として受け止められなくなる可能性を指摘する。それでも、多くのブラジル人にとって今回の現象は、長年抱えてきた自国文化への過小評価意識を乗り越え、ブラジルの文化的価値が世界で再発見される機会となっている。

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