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心臓疾患と脳の健康、認知症を発症するリスク高まる=研究

米国で発表された最新の研究が、心臓疾患と脳の健康との密接な関係を改めて示した。
人間のイメージ(Getty Images)

心筋梗塞を経験した人は、その後に認知機能が低下し、認知症を発症するリスクが高まる可能性がある。米国で発表された最新の研究が、心臓疾患と脳の健康との密接な関係を改めて示した。研究は米心臓協会系の学術誌「Stroke(ストローク)」に掲載され、専門家らは「心臓を守ることが脳を守ることにつながる」と指摘している。

研究を主導したのは、オハイオ州立大学の神経学者モハメド・リダ(Mohammed Ridha)氏らのチームである。研究では、過去に心筋梗塞を経験した人と、発症歴のない人々の認知機能を長期間にわたり比較した。その結果、心筋梗塞の既往がある人は、認知機能障害を発症する確率が毎年約5%高くなることが分かった。特に記憶力や思考力、判断力の低下が目立ち、時間の経過とともに症状が進行しやすい傾向が確認されたという。

研究者たちは心筋梗塞によって血管や循環機能にダメージが生じ、脳への血流が慢性的に低下することが背景にあるとみている。脳は大量の酸素と栄養を必要とする臓器であり、血流不足が続けば神経細胞に悪影響を及ぼす。また、心筋梗塞を起こした人には高血圧や糖尿病、肥満、高コレステロールなどのリスク因子を抱えるケースも多く、これらが複合的に認知症リスクを押し上げている可能性がある。

近年、心血管疾患と認知症の関連を示す研究は相次いでいる。高血圧や肥満が血管性認知症を引き起こしやすいことや、不整脈の一種である心房細動が認知症リスクを高めることも報告されている。さらに、悪玉コレステロール(LDL)の増加や超加工食品中心の食生活も、脳機能低下との関係が指摘されている。専門家の間では、「心臓と脳は同じ血管ネットワークで結ばれている」という認識が広がりつつある。

一方で、研究者らは今回の結果が「心筋梗塞が直接認知症を引き起こす」と断定するものではないとも説明する。認知症には加齢や遺伝、生活環境など多様な要因が影響しており、個人差も大きい。ただし、心血管リスクを適切に管理することが認知症予防につながる可能性は高いという。

専門家は禁煙や適度な運動、塩分や脂肪分を抑えた食事、血圧や血糖値の管理など、一般的な心疾患予防策が脳の健康維持にも重要だと強調する。高齢化に伴い認知症患者が増加する中、心臓病対策が将来的な認知症予防の鍵になる可能性が注目されている。

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