ロシア核演習、短距離弾頭ミサイルに核弾頭搭載、実践想定
演習は3日間の日程で行われ、ロシア国内に加えて同盟国ベラルーシでも実施される。
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ロシア国防省は20日、核演習の一環として、核弾頭を短距離弾道ミサイル「イスカンデルM」に運搬・搭載する様子を公開した。映像では、兵士らが専用車両で核弾頭を移送し、発射装置へ積み込んだ後、秘匿状態で発射地点へ移動する様子が映し出されている。ロシアは今回の演習について、核戦力を「最高レベルの戦闘即応態勢」に移行させる訓練だと説明している。
演習は3日間の日程で行われ、ロシア国内に加えて同盟国ベラルーシでも実施される。国防省によると、約6万4000人の兵士、7800点以上の軍事装備、200基超のミサイル発射装置、140機の航空機、73隻の艦艇、13隻の潜水艦が参加する大規模訓練となっている。弾道ミサイルや巡航ミサイルの発射訓練も予定されており、ロシア軍の核戦力全体を動員する内容だ。
中核となるイスカンデルMは通常弾頭と核弾頭の両方を搭載可能な移動式ミサイルシステムで、射程は約500キロとされる。ロシアはウクライナ侵攻でもイスカンデルを使用し、飛行場や軍事施設への攻撃に投入してきた。また、ロシア西部の飛び地カリーニングラードやベラルーシにも配備されているため、ポーランドやバルト諸国などNATO加盟国の一部が射程圏内に入る。
今回の演習の背景には、ウクライナ情勢を巡るロシアと西側諸国の緊張激化がある。ロシア政府はNATOによる軍事支援や東欧での部隊増強を強く警戒し、核戦力を誇示することで抑止力を示す狙いがあるとみられる。ロシア外務省高官は20日、「ロシアとNATOの直接衝突の危険性が増している」と発言し、事態が「破滅的結果」を招く可能性があると警告した。
一方、西側の軍事専門家は今回の演習について、政治的・心理的効果を狙う側面が強いと分析している。米シンクタンク「戦争研究所(ISW)」はロシアが核戦力を誇示することでNATO諸国の支援継続に圧力をかけ、同時にウクライナ東部ドンバス地方で続く戦況停滞から国際社会の関心をそらそうとしていると指摘した。
ロシアは近年、核戦力の近代化を急速に進めている。プーチン(Vladimir Putin)大統領は今月、新型大陸間弾道ミサイル(ICBM)「サルマト」を年内に配備すると表明したほか、中国と共同で米国のミサイル防衛構想「ゴールデンドーム」を批判する声明も発表している。冷戦後の核軍縮体制が揺らぐ中、ロシアによる一連の核演習は世界的な軍拡競争への懸念をさらに強める形となっている。
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