ブラジル、巨大IT企業に対する規制強化、ルラ氏が大統領令に署名
今回の措置では、裁判所から削除命令を受けた違法投稿について、企業側が対応を怠った場合に法的責任を負うことが明確化された。
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ブラジルのルラ(Luiz Inácio Lula da Silva)大統領は20日、巨大IT企業に対する規制を強化する二つの大統領令に署名した。対象となるのはグーグルやメタ、ティックトックなどの大手プラットフォーム企業で、利用者が投稿した違法コンテンツへの対応責任をこれまで以上に厳格化する内容となっている。
今回の措置では、裁判所から削除命令を受けた違法投稿について、企業側が対応を怠った場合に法的責任を負うことが明確化された。さらに、国家データ保護庁(ANPD)が企業の対応状況を調査できるようになり、違反が認められた場合には警告や罰金、一時的なサービス停止処分などが科される可能性がある。
大統領府は声明で、プラットフォーム事業者に対し、利用者からの通報を迅速に審査し、犯罪性があると判断されたコンテンツを直ちに削除するよう義務付けたと説明した。加えて、削除理由を投稿者本人へ通知する手続きも求められる。新制度はヘイトスピーチや人種差別、暴力扇動に加え、オンライン詐欺や女性へのデジタル暴力など、新たなネット犯罪への対策も強化する狙いがある。
ブラジルでは近年、SNS上の偽情報拡散や政治的過激化が社会問題化しており、政府と司法当局はIT企業への規制強化を進めてきた。2024年には最高裁判所が、企業側にも一定の監視義務があるとの判断を示し、今回の大統領令はその流れを制度面で補強する位置付けとなる。
一方で、規制強化には懸念もある。表現の自由を重視する立場からは、企業が処罰を恐れて過剰に投稿を削除する可能性が指摘されている。また、違法性の判断を民間企業に委ねることへの疑問も根強い。専門家は監督機関の人員や能力不足を理由に「制度が実際に機能するかは不透明だ」との見方を示している。
それでも、ブラジル政府は欧州連合(EU)型のデジタル規制へ接近する姿勢を鮮明にしている。巨大IT企業の社会的影響力が拡大する中、国家による統制をどこまで強めるべきかを巡る議論は、今後さらに国際的な広がりを見せそうだ。
