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韓国サムスン電子、労組と暫定合意、組合員投票へ

今回の労使対立では、約4万8000人が加入する全国サムスン電子労組(NSEU)が、18日間に及ぶ大規模ストを計画していた。
2026年4月23日/韓国、首都ソウル、電機大手サムスン電子の組合員による抗議デモ(ロイター通信)

韓国の電機大手サムスン電子における労使交渉を巡り、労働組合は20日、会社側との暫定的な賃金合意案について組合員投票を実施すると発表した。これにより、当初予定されていた大規模ストライキはひとまず回避される見通しとなった。AI向け半導体需要の拡大によって世界的な供給網への影響が懸念されていただけに、市場関係者には安堵感が広がっている。

今回の労使対立では、約4万8000人が加入する全国サムスン電子労組(NSEU)が、18日間に及ぶ大規模ストを計画していた。争点となっていたのは、業績連動型ボーナスの配分方法や賃金制度である。労組はAIブームによってメモリー半導体事業が急成長する一方、従業員への利益還元が不十分だと主張してきた。特にSKハイニックスなど競合企業と比較して待遇面で劣るとの不満が強く、組合員の93%がスト賛成票を投じていた。

交渉は行政機関の仲介の下で進められたが、19日の協議では約15時間に及ぶ話し合いでも決着に至らなかった。最大の争点は営業利益に応じたボーナス配分の扱いである。

政府はストが行われれば国家経済への打撃が大きいとして、異例の「緊急仲裁命令」の発動も検討していた。サムスンは韓国輸出の約4分の1を占める中核企業であり、長期ストによって経済成長率が0.5ポイント押し下げられるとの試算も出ていた。

その後、労使双方は20日、暫定合意に到達した。合意案にはボーナス上限の撤廃や、営業利益と連動した特別報酬制度の導入などが盛り込まれていると報じられている。また、合意した業績目標を達成した場合、特別ボーナスを自社株形式で支給する内容も含まれるという。労組はこれを受け、予定していたストを停止し、22日から27日にかけて組合員投票を実施すると明らかにした。

サムスンは声明で、「成熟した建設的な労使関係を築いていく」とコメントした。一方、労組側は依然として経営陣への不信感を残しており、投票で否決された場合には再び争議行為に踏み切る可能性もある。

サムスンは長年、「無組合経営」を掲げてきたことで知られる。しかし、組合潰し工作などが社会問題化したことを受け、近年は労組の存在感が急速に高まっている。2024年には創業以来初となる大規模ストが実施され、現在では複数の労組が活動する状態となっている。今回の交渉は単なる賃上げ問題にとどまらず、企業経営の転換点としても注目されている。

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