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SNS上にあふれる「健康に関するアドバイス」どこまで信頼すべき?

専門家はSNSの情報を完全に否定する必要はないとした上で、「受け身で流し見するのではなく、自ら情報源を確認する姿勢が重要だ」と強調する。
足のストレッチ(Getty Images)

SNSや動画投稿アプリで拡散される健康情報を、どこまで信頼すべきか。米国で健康や美容、メンタルケアに関する助言をソーシャルメディアから得る人が増える一方、誤情報や誇張表現への警戒を呼びかける声が強まっている。専門家は「発信者の資格や利益関係を確認し、感情をあおる投稿には注意すべきだ」と訴えている。

米非営利調査機関ピュー・リサーチ・センターの調査によると、米国の成人の約4割がSNSやポッドキャストを通じて健康情報を得ており、50歳未満ではその割合が半数に達した。背景には医療機関への不信感や、専門用語を使わず親しみやすく説明するインフルエンサーへの支持があるとみられる。

一方で、健康関連のインフルエンサー6828人を分析したところ、医師や看護師、理学療法士など専門的資格を持つ人物は約4割にとどまった。「コーチ」や「起業家」と名乗る人物も多く、自らの体験談を根拠に情報発信しているケースも少なくない。専門家は個人の成功体験がそのまま他人に当てはまるわけではないと指摘する。

特に注意が必要なのが、強い不安や驚きをあおる投稿だ。産婦人科医ファティマ・ダウド(Fatima Daoud)氏は、「信頼できる医療情報は恐怖を利用して拡散しようとはしない」と語る。動画冒頭で「これを知らないと危険」「医者は真実を隠している」といった刺激的な表現を用いる投稿は再生数を稼ぐために誇張されている可能性が高いという。

また、専門家は「断定的すぎる表現」にも警鐘を鳴らす。「絶対に治る」「これだけで健康になる」といった万能感を与える発信は科学的根拠が乏しい場合が多い。心理療法士ネドラ・グローバー・タワブ(Nedra Glover Tawwab)氏は、自身の投稿では「場合によっては」「かもしれない」といった慎重な表現を意識していると明かし、視聴者にも冷静な判断を求めている。

さらに、インフルエンサーと企業との金銭的関係にも注意が必要だ。サプリメントや健康食品、化粧品などを紹介する投稿の中には、広告収入や販売手数料を目的としたものもある。米連邦取引委員会(FTC)は広告であることの明示を求めているが、実際には十分に表示されていない例も指摘されている。

専門家はSNSの情報を完全に否定する必要はないとした上で、「受け身で流し見するのではなく、自ら情報源を確認する姿勢が重要だ」と強調する。論文や公的機関の情報に基づいているか、他の専門家も同様の見解を示しているかを調べることが求められる。最終的には、ネット上の情報だけで自己診断せず、信頼できる医師や医療従事者に相談することが不可欠だとしている。

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