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自転車通勤の始め方、安全対策のポイント、職場での身だしなみ

専門家は高価な装備や特別な体力は必ずしも必要ではなく、安全対策や準備を工夫することで、多くの人が無理なく通勤手段として自転車を取り入れられるとしている。
自転車通勤のイメージ(Getty Images)

ガソリン価格の高止まりや健康志向の高まりを背景に、「自転車通勤」への関心が世界的に高まっている。一方で、「体力に自信がない」「汗だくになる」「交通事故が心配」といった理由から、自転車通勤に踏み出せない人も少なくない。

専門家は高価な装備や特別な体力は必ずしも必要ではなく、安全対策や準備を工夫することで、多くの人が無理なく通勤手段として自転車を取り入れられるとしている。

米イリノイ州シカゴでパブを経営する72歳のマイケル・ローパー(Michael Roper)さんは毎日の通勤に自転車を利用している。ローパーさんは自転車で街を走ることで季節の変化や地域の新しい店、夜空を飛ぶフクロウなど、自動車では見過ごしてしまうような風景に気付くことができると語る。運動不足の解消だけでなく、地域とのつながりや気分転換にも役立つ点が、自転車通勤の大きな魅力だという。

自転車通勤を始める際、高価なロードバイクや専用ウェアを購入する必要はない。都市部ではシェアサイクルを利用できるほか、中古自転車でも十分に通勤可能である。

米ボストンでソフトウェアエンジニアとして働くナタリー・フランク(Natalie Frank)さんは、大学卒業後に友人から無償で譲り受けた自転車を現在も利用しており、空気入れも公園に設置された無料設備を活用しているという。「通勤費はゼロ」と話し、自転車通勤の経済的なメリットを強調する。

一方、自転車通勤で最も気になる点の一つが、職場での身だしなみである。専門家は、通勤時と勤務時の服装を分けることを勧めている。

デンバー大学で数学を教えるエリー・ダネンバーグ(Ellie Dannenberg)さんは、運動用の服装で通勤し、勤務用の衣類は自転車後部に取り付けるパニアバッグに収納している。職場には仕事用の靴を常備し、到着後に着替えることで快適に勤務できるという。また、荷物を背負うリュックサックは背中に汗をかきやすいため、荷物を自転車本体に載せる方法が望ましいと指摘する。職場にシャワー設備がなくても、汗拭きシートや洗い流し不要の洗浄用品、制汗剤などを常備すれば清潔感を保つことができる。

安全対策も欠かせない。専門家はヘルメットの着用を強く推奨しているほか、明るい色の衣類や反射ベスト、前後のライト、反射板などを活用し、自動車から見えやすい状態を確保することが重要だとしている。自転車専用レーンがない道路では、路肩に寄り過ぎず車線中央寄りを走行することで、自動車から認識されやすくなる。また、信号待ちでは車列の先頭に出ることで存在を知らせやすくなるという。冬季には路面凍結への注意も必要で、特にカーブでは速度を落として慎重に走行することが求められる。

初心者は、経験者と一緒に通勤ルートを確認することも有効だ。最短距離ではなく、自転車道や交通量の少ない道路を選ぶことで、安全性や快適性が大きく向上する場合がある。また、電動アシスト自転車は発進時や坂道で負担を軽減できるため、体力に不安のある人にとって有力な選択肢となる。さらに、自転車利用者向けの教育団体が交通ルールや手信号の使い方を動画などで紹介しており、事前に基本的な走行方法を学ぶことが事故防止につながるとしている。

事故防止のためには、停車中の自動車にも注意が必要である。駐車車両のドアが突然開いて衝突する「ドアリング」は、自転車事故の代表的なケースの一つである。専門家は駐車車両から1.2メートル以上距離を取り、たとえ自転車レーンの外側を走ることになっても「ドアゾーン」を避けることを優先すべきだと指摘する。車内に人がいることを確認した場合は、ドアが開く可能性を想定してさらに距離を取ることが望ましい。

自転車通勤は、交通費の節約や健康維持、環境負荷の軽減に加え、日常生活にゆとりや楽しさをもたらす移動手段として注目されている。一方で、その利点を十分に生かすには、適切な装備や交通ルールの理解、身だしなみへの配慮など、基本的な準備が欠かせない。

専門家らは「完璧な装備をそろえてから始める必要はない」と口をそろえ、小さな工夫を積み重ねながら、自分に合った無理のない自転車通勤を続けることが何より重要だとしている。

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