米軍、東太平洋で麻薬密輸疑いの船舶を攻撃、5人死亡、作戦の合法性に批判

今回の攻撃は、トランプ政権が2025年9月に開始した、中南米の麻薬組織を標的とする軍事作戦の一環だ。
米海軍の空母エイブラハム・リンカーン(AP通信)

米軍は27日、東太平洋で麻薬密輸に関与した疑いのある船舶を攻撃し、乗船していた5人が死亡したと発表した。米南方軍(SOUTHCOM)によると、船舶は既知の密輸ルートを航行しており、情報分析によって麻薬取引への関与が確認されたという。

今回の攻撃は、トランプ政権が2025年9月に開始した、中南米の麻薬組織を標的とする軍事作戦の一環だ。米軍による一連の船舶攻撃は70回を超え、死者は少なくとも240人に達した。政権は麻薬組織を「テロリスト」と位置付け、米国内への違法薬物の流入と薬物の過剰摂取による死亡を防ぐため、軍事力の行使が必要と主張している。

一方、作戦の合法性と実効性を疑問視する声も強い。民主党議員や軍事法の専門家らは、軍事攻撃の対象となった人々が米国に差し迫った脅威を与えていたのか、十分な根拠が示されていないと批判する。国際法や人権の専門家からは、裁判などの法的手続きを経ずに人命を奪う行為に当たる可能性も指摘されている。

攻撃の有効性にも疑問が残る。米国で深刻な問題となっている合成麻薬フェンタニルの多くは、メキシコから陸路で流入している。今回のような海上攻撃が、米国内の薬物供給や過剰摂取による死亡をどの程度減らせるのかは明らかでない。

過去の攻撃では、船舶への最初の攻撃を生き延び、残骸につかまっていた2人が、追加攻撃によって死亡した事例もある。ホワイトハウスは当時、船舶を破壊するための自衛措置であり、武力紛争法に沿った行為だと説明したが、法学者からは生存者への再攻撃は違法だとの批判が出た。

米国防総省の監察部門は、標的の選定や攻撃の実施が所定の手続きに従っていたかを調査する方針を示している。ただし、攻撃そのものの合法性は調査対象に含まれない。麻薬対策の強化を掲げるトランプ政権に対し、軍事作戦の透明性と法的責任をどう確保するかが課題となっている。

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