国連、ニカラグア先住民指導者リベラ氏の死に懸念表明、政府に調査求める
リベラ氏は先住民族ミスキートの指導者として長年活動し、先住民の自治権や土地権利の擁護に尽力してきた人物である。
と妻のムリジョ副大統領(ロイター通信).jpg)
国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は2日、ニカラグアの著名な先住民指導者で元国会議員のブルックリン・リベラ(Brooklyn Rivera、73歳)氏が拘束中に死亡した問題について、ニカラグア政府に対し、独立かつ公平な調査を実施するよう求めた。国際社会からは、同国の人権状況に対する批判が改めて高まっている。
リベラ氏は先住民族ミスキートの指導者として長年活動し、先住民の自治権や土地権利の擁護に尽力してきた人物である。政府によると、同氏は先月、新型コロナウイルス感染後の体調悪化に伴う細菌感染により死亡したとされる。同氏は2023年9月以降、当局の拘束下に置かれ、家族や支援団体は政治的理由による不当な拘禁だったと非難していた。
国連は当局が2年以上にわたりリベラ氏の所在や健康状態について十分な情報を公表しなかったことから、この事案を「強制失踪」に相当すると指摘した。さらに、拘禁中に適切な医療を受けられていたのか、死亡に至った経緯が明らかになっていないとして、詳細な調査の必要性を強調した。
リベラ氏は1970年代から現在の政権与党・サンディニスタ民族解放戦線(FSLN)と対立し、1980年代には先住民の権利拡大を求める運動を主導した。後に先住民の政治組織「ヤタマ」の共同創設者となり、ニカラグア北東部の先住民自治の実現に重要な役割を果たした。近年も政府による資源開発政策や権力集中を批判し続けていた。
ニカラグアでは2018年の反政府デモ以降、反体制派や活動家への弾圧が続いている。人権団体によると、数百人の政治犯が裁判を受けることなく刑務所に収監され、拘禁中の死亡事例も報告されている。元政治犯らは独房監禁や拷問、医療不足などの劣悪な収容環境を訴えている。
国連は声明で、リベラ氏の死が単独の事件ではなく、拘束者への虐待や人権侵害に関する継続的な懸念の一部だと指摘した。そのうえで、ニカラグア政府に対し、恣意的に拘束された全政治犯の解放と、国際的な人権基準に沿った収容施設の運営を求めた。今回の事件は独裁者オルテガ(Daniel Ortega)大統領と妻のムリジョ(Rosario Murillo)共同大統領の体制下における人権問題を改めて浮き彫りにした。
