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米国、ハイチおよびシリア移民の一時保護資格(TPS)打ち切り、影響拡大

TPSは1990年に連邦議会が創設した制度で、内戦や自然災害などにより帰国が困難な国の出身者に対し、一定期間、米国内での滞在と就労を認める仕組みである。
2022年10月30日/ハイチ、首都ポルトープランス(Ramon Espinosa/AP通信)

連邦最高裁判所は6月25日、トランプ政権がハイチ人とシリア人に対する「一時保護資格(TPS)」を打ち切ることを認める判断を示した。これにより約35万人のハイチ人と約6000人のシリア人が強制送還の対象となる可能性が生じたほか、同制度を利用する17カ国、約130万人の移民にも影響が及ぶとみられる。

TPSは1990年に連邦議会が創設した制度で、内戦や自然災害などにより帰国が困難な国の出身者に対し、一定期間、米国内での滞在と就労を認める仕組みである。対象者は指定日以前から米国内に継続して居住していることが条件で、国土安全保障省が最長18カ月ごとに指定を更新する。多くの受給者は長年にわたり米国で生活し、就労や納税を続け、米国籍の子どもを持つ家庭も少なくない。

最高裁は賛成6対ー反対でトランプ政権の決定を支持した。最高裁はTPSの指定や終了は国土安全保障省の裁量に属し、司法が介入できる範囲は限定的だと判断した。これにより、下級審が差し止めていた保護終了措置は覆され、トランプ政権は制度廃止に向けた手続きを進めることが可能となった。判決は32日後に効力を持つ見通しで、その後は対象者が就労資格を失い、拘束や退去強制手続きに直面する可能性がある。ただし、制度終了の適法性そのものを争う訴訟は今後も継続する予定だ。

トランプ政権は、TPSは本来一時的な保護措置であり、恒久的な在留資格として運用されるべきではないと主張する。ハイチやシリアについても保護指定当初と比べ状況が改善しているとし、制度終了は法令に基づく適切な判断だとしている。一方で、支援団体や弁護団は、両国では依然として政治的混乱や武力衝突、人道危機が続き、安全な帰国は困難だと反論している。またトランプ政権が十分な実情調査を行わずに保護終了を決定したと批判し、議会に対して制度の恒久的な見直しを求めている。

今回の判決はハイチ人とシリア人だけにとどまらず、エルサルバドル、ウクライナ、ベネズエラなど他国のTPS受給者に関する係争中の案件にも影響を与える可能性がある。特にベネズエラ出身者はTPS受給者の中で最大規模を占め、今後の司法判断や行政措置によってはさらに多くの移民が保護を失う恐れがある。移民政策を巡る司法判断は、行政権限の範囲と人道的保護の在り方を改めて問うものとなっている。

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