SHARE:

米領プエルトリコの民間電力会社ルマ・エナジーが政府を提訴

ルマ社は訴状の中で、政府が「公共の利益を損なう悪意ある行為」に及んでいると主張し、政治的な目的のために権限を乱用していると批判した。
米領プエルトリコ、送配電会社ルマ・エナジーの社員(Getty Images)

米領プエルトリコの送配電網を管理・運営する民間電力会社ルマ・エナジーが23日、同自治領政府を提訴した。政府による契約解除に向けた訴訟に対抗するもので、両者の対立は新たな局面を迎えている。

ルマ社は訴状の中で、政府が「公共の利益を損なう悪意ある行為」に及んでいると主張し、政治的な目的のために権限を乱用していると批判した。特に、ゴンザレス(Jenniffer González)知事が選挙期間中から掲げてきたルマ社との契約解消公約を実現するため、違法な手段で会社排除を進めていると訴えている。

今回の反訴は政府が2025年12月に提起した契約解除訴訟への対抗措置となる。ゴンサレス氏は当時、「電力システムはルマが約束したほど改善していない」と述べ、頻発する停電や高騰する電気料金、送電網再建の遅れを理由に契約打ち切りを目指す方針を示していた。

ルマ社はカナダのATCO社と米国のクアンタ・サービシズ社による共同事業体で、2021年6月からプエルトリコの送配電事業を担っている。同社は数十年にわたる設備投資不足や管理不全によって老朽化した電力網を公営電力公社から引き継いだほか、2017年のハリケーン・マリアがもたらした壊滅的被害の復旧にも取り組んできたと主張している。

しかし、島内では停電が多発している。2024年末や2025年春には全国規模の停電が発生し、市民生活や観光業、企業活動に深刻な影響を与えた。こうした状況を背景に、「ルマ退場」を求める世論が高まり、政府による契約見直し圧力も強まっていた。

ルマ社は反訴の中で、契約が解除された場合には少なくとも45億ドルの損害賠償を受ける権利があると主張している。一方、政府は現時点で提訴に対する公式見解を示していない。

プエルトリコの電力問題は送配電網の老朽化だけでなく、公営電力公社PREPAが抱える90億ドル超の債務問題とも密接に結びついている。PREPAは破産手続きの途上にあり、電力システム改革の行方は不透明なままだ。政府とルマ社の法廷闘争が長期化すれば、電力インフラの再建や安定供給にも影響が及ぶ可能性がある。

この記事が気に入ったら
フォローしよう
最新情報をお届けします