ハイチ有力ギャング指導者が国連事務総長に書簡、停戦仲介を要請、エルサルバドル軍派遣で衝突激化を懸念

国連によると、ハイチでは2026年1月から9月中旬までに、ギャングの暴力によって5700人以上が死亡または負傷した。
2026年10月30日/ハイチ、首都ポルトープランス近郊、ギャング制圧部隊(GSF)の隊員(AP通信)

ハイチの有力武装ギャング「400マウォゾ」の指導者ウィルソン・ジョセフ(Wilson Joseph、通称:ランモ・サンジュ / Lanmò Sanjou)が2日、国連のグテレス(Antonio Guterres)事務総長に書簡を送り、ハイチへの代表団派遣と対話・仲介を求めた。

ジョセフはエルサルバドル軍の追加派遣を受け、武装ギャングと治安部隊の衝突が激化し、民間人の犠牲が拡大することへの懸念を示した。

書簡は首都ポルトープランス近郊の地区から送付された。同地区では10月18日、国連安全保障理事会の承認を受けた「ギャング制圧部隊(GSF)」に所属するエルサルバドル人航空技術者4人が襲撃され、行方不明となっている。この事件を受け、エルサルバドルのブケレ(Nayib Bukele)大統領は2000人以上の兵士をハイチに派遣した。

ジョセフは書簡で、ブケレ氏による報復を示唆する発言が暴力の連鎖を招く恐れがあると主張した。また、400マウォゾは8月20日以降、白旗を掲げて平和的解決を求めてきたと説明し、GSFとの協議を開始する用意があると表明。対話による合意と持続的な治安安定を目指すとして、子どもや弱い立場にある家族を含む民間人の保護を優先するよう訴えた。

一方、400マウォゾは誘拐、身代金要求、武器・麻薬取引などに関与してきた武装集団だ。2021年には米国人16人とカナダ人1人を含むキリスト教宣教師17人を誘拐した事件でも知られる。ジョセフは米国で人質誘拐などの容疑で起訴され、米政府は逮捕につながる情報に最高100万ドルの懸賞金を設定している。

国連によると、ハイチでは2026年1月から9月中旬までに、ギャングの暴力によって5700人以上が死亡または負傷した。今回の対話要請が実際の交渉につながるかは不透明であり、治安回復と民間人保護に向けた国際社会の対応が問われている。

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