◎独裁者のダニエル・オルテガ大統領に逆らった野党指導者や人権活動家は刑務所内の裁判所で実刑判決を受けている。
2021年5月21日/ニカラグア、首都マナグアの裁判所前、クリスティアナ・チャモロ氏(Getty Images/AFP通信/PAメディア)

3月3日、ニカラグアの秘密裁判所は昨年の大統領選挙に立候補する予定だったクリスティアナ・チャモロ氏などの審理を開始し、多くの野党指導者に有罪判決を言い渡した。

チャモロ氏は昨年6月以来、自宅軟禁下に置かれている。ニカラグア人権センターによると、同氏は厳重な警備のもと、首都マナグアにある悪名高いチポテ刑務所に連行されたという。

独裁者のダニエル・オルテガ大統領に逆らった野党指導者や人権活動家は刑務所内の裁判所で実刑判決を受けている。

AP通信によると、チャモロ氏と兄のペドロ氏、そしてチャモロ財団の元職員3人は、マネーロンダリングなどに関与した疑いで裁かれる予定。同財団はジャーナリストの育成と表現の自由の擁護のために資金を提供していた。

オルテガ大統領は昨年の総選挙に先立ち、チャモロ氏を含む主要な大統領候補7人を反逆罪に相当する容疑で刑務所に送り、その他の野党関係者20人も合わせて逮捕した。

チャモロ氏は同国初の女性大統領であるビオレタ・チャモロ氏の娘である。

オルテガ政権は多くの非政府組織を外国政府から資金を受け取っている反体制派と見なし、厳しく取り締まっている。

地元メディアとニカラグア人権センターによると、チポテ刑務所の裁判官は3日、与党サンディニスタ民族解放戦線の元高官や元大統領候補を含む数人の野党指導者に「国家の健全性を損なう陰謀」に関与した罪で実刑判決を言い渡したという。

大統領候補で政治学者のフェリックス・マラディアガ氏と経済学者のフアン・セバスチャン・チャモロ氏は共に禁固13年、元駐米大使のアルトゥロ・クルース氏は禁固9年を言い渡された。

元外務副大臣のパライス氏と起業家のアゲリ氏も禁固13年。民主活動家のグラネラ氏と野党指導者のダビラ氏は禁固8年だった。

野党指導者の多くは60歳を過ぎており、親族はチポテ刑務所の悪名高い環境を考えると、実刑判決は事実上の死刑宣告になるかもしれないと恐れている。

サンディニスタ民族解放戦線の元ゲリラ戦闘員で、反政府勢力のリーダーとして刑務所に収監されたオルテガ氏(大統領)を解放するために奮闘したウゴ・トーレス氏は裁判にかけられる前に病死した。

チポテ刑務所の秘密裁判は原則非公開で、弁護士も立ち合いしか許可されていない。

野党自由連合は3日、指導者らに対する判決を却下し、「裁判は法律違反、権利侵害、適正手続き違反に満ち満ちている」と非難声明を発表した。

ニカラグア人権センターは裁判を「茶番」と呼び、与党サンディニスタ民族解放戦線にオルテガ大統領を追放するよう要請した。

ニカラグアでは2018年の反政府デモに対する暴力的な取り締まり以来、野党指導者を含む数千人が亡命を余儀なくされている。オルテガ大統領はデモを外国勢力のクーデターなどと呼び、取り締まりを擁護した。治安部隊に殺害された市民は250~300人と推定されている。

2018年9月5日/ニカラグアのダニエル・オルテガ大統領と妻のロサリオ・ムリーリョ副大統領(Alfredo Zuniga/AP通信)
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