メキシコ、対米牛肉輸出拡大目指す、スクリューワームハエ症の流行続く中
スクリューワームハエ症(蠅蛆症)はハエの幼虫が家畜の傷口などに寄生し、組織を食い荒らすことで知られる。
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メキシコ政府は19日、家畜に深刻な被害をもたらす寄生虫「スクリューワーム(新世界ラセンウジバエ)」の再拡大による影響を緩和するため、対米牛肉輸出の拡大を図る方針を打ち出した。畜産業への打撃が懸念される中、輸出を通じて経済的損失を補う狙いがある。
スクリューワームハエ症(蠅蛆症)はハエの幼虫が家畜の傷口などに寄生し、組織を食い荒らすことで知られる。感染が進むと家畜は衰弱し、最悪の場合は死に至ることもある。メキシコはかつて撲滅に成功したとされていたが、近年になって再び感染が確認され、畜産関係者の間で警戒が強まっている。特に南部地域での発生が相次ぎ、牛の移動制限や検疫強化などの措置が取られている。
こうした中、シェインバウム政権は被害の広がりによって国内供給が不安定化する可能性を踏まえ、米国向けの牛肉輸出を拡大することで産業の収益を確保しようとしている。メキシコはもともと米国にとって主要な牛肉供給国の一つであり、輸出の増加は両国の食肉市場にも影響を与える見通しである。政府は衛生管理を徹底することで輸出の信頼性を維持しつつ、取引量の拡大を目指すとしている。
一方で、感染拡大への対応は容易ではない。スクリューワームの制圧には、無菌化した雄バエを大量に放出して繁殖を抑制するなど、長期的かつ大規模な対策が必要である。過去の取り組みでも国際的な協力・協調が不可欠だったため、今回も米国などとの連携が重要になるとみられている。
また、米側でも輸入拡大に対する慎重論がある。家畜の衛生状態に対する懸念から、検査体制の強化や輸入条件の見直しを求める声が上がり、交渉の行方が注目されている。仮に感染リスクが十分に管理されない場合、検査体制などが強化される可能性も否定できない。
メキシコ国内では、畜産農家への補償や防疫体制の強化も課題となっている。被害が拡大すれば中小規模の農家ほど打撃を受けやすく、地域経済に影響が及ぶ恐れがある。政府は監視体制の拡充や迅速な感染報告の仕組みづくりを進めるとともに、農家への支援策を検討している。
今回の対応は感染症リスクと貿易政策が密接に結びつく現代の畜産業の課題を浮き彫りにしている。スクリューワームの封じ込めと輸出拡大という二つの目標を同時に達成できるかが、メキシコの畜産業の将来を左右する重要な試金石となる。
