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メキシコ東部沿岸を覆うサルガッサム、対応に苦慮する自治体

サルガッサムは大西洋を漂流して巨大な群落を形成し、海流によってカリブ海沿岸に運ばれる。
2026年7月22日/メキシコ、キンタナロー州トゥルムの海岸、海藻を除去する作業員(ロイター通信)

メキシコ東部のカリブ海沿岸で悪臭を放つ海藻「サルガッサム(ホンダワラ類)」が記録的な規模で漂着し、自治体が対応に追われている。リゾート地のカンクン、プラヤデルカルメン、トゥルムなどを抱えるキンタナロー州では、2026年に入って回収した量が8月時点で10万5000トンを超え、過去最高だった2025年の9万2783トンを上回った。州当局は当初、年間で約11万9000トンの漂着を予測していたが、実際にはこれを大幅に超える可能性がある。

サルガッサムは大西洋を漂流して巨大な群落を形成し、海流によってカリブ海沿岸に運ばれる。専門家によると、今回の大増殖には、農業由来の窒素やリンを含む栄養分に富んだ河川からの流出、海洋環境の変化が影響している。特にブラジルなど農業が盛んな地域からの肥料由来の栄養塩が一因とされる。海岸に堆積したサルガッサムは腐敗すると硫化水素を発生させ、鼻や気道を刺激する悪臭を放つため、観光客を遠ざける要因にもなる。

キンタナロー州では自治体や海軍、清掃作業員らが連日、砂浜からサルガッサムを除去している。しかし、今年は漂着が途切れず、対応に苦慮している。AP通信の取材に応じた作業員は、「除去しても除去してもなくならない」と語った。州政府によると、漂着シーズンは10月上旬から中旬まで続く可能性があるものの、今後のサイクロン、海流、潮汐によって大きく変わるため、終息時期の予測は難しい。

問題は環境だけにとどまらない。カリブ海沿岸の観光業はキンタナロー州経済の柱であり、サルガッサムで汚れた海岸はホテルや飲食店などにも打撃を与える。回収作業には多額の費用がかかるため、サルガッサムそのものを資源として利用し、処理費を抑える取り組みも始まっている。

民間企業の中には、サルガッサムから液体肥料や植物用バイオスティミュラントを製造する企業もあり、メキシコ政府も肥料、バイオ燃料、バイオプラスチックなどへの転用を検討してきた。ただし、商業化への公的支援はまだ限られ、資金の多くが清掃に充てられている。

記録的な漂着は単なる観光地の景観問題ではなく、海洋環境の変化と沿岸経済の脆弱性を同時に浮き彫りにしている。メキシコにとっては、押し寄せるサルガッサムを除去するだけでなく、その発生・漂着を長期的に抑え、廃棄物を資源に転換する仕組みを確立できるかが課題となる。

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