◎国営イラン通信は火災が発生したことを認めたが、地元当局は放火の可能性を否定している。
イランの道徳警察に抗議するデモ(Getty Images)

イランのメディアは18日、デモ隊が初代最高指導者の故ホメイニ(Ruhollah Khomeini)師の生家に火を放ったと報じた。

SNSで共有された動画にはホメイニ師の生家(博物館)前で大騒ぎする抗議者とみられる人々の姿が映っている。現場は首都テヘランの南に位置する都市ホメインの市内。

国営イラン通信は火災が発生したことを認めたが、地元当局は放火の可能性を否定している。

ホメイニ師はこの家で生まれたとされる。現在はその生涯を記念する博物館になっている。

地元の独立系メディアは関係者の話を引用し、「当局者はイランの象徴が攻撃の対象になったことを認めたくないようだ」と報じている。

ホメイニ師は1979年のイスラム革命を率い、1989年に亡くなるまで最高指導者を務めた。

ツイッターやフェイスブックなどで共有された動画には、ホメイニ氏の生家とされる建物の前でデモ隊が歓声を上げる姿が映っている。報道によると、この動画は17日遅くに撮影されたという。

しかし、ホメインの報道機関は生家が攻撃を受けたことを否定した。

この報道機関は生家前に人々が集まっている姿を報じたものの、その後、別の映像を流し、デモ隊が放火したというSNSの情報を否定した。

「偉大な指導者の家は今も一般に開かれています...」

ホメイニハウス炎上事件はイランの道徳警察と第二代最高指導者であるハメネイ(Ali Khamenei)師に対する前例のない抗議デモが加速していることを示している。

首都テヘランでクルド人女性のアミニ(Mahsa Amini)さんが殴り殺された事件に抗議するデモは8週目に突入し、一部地域では紛争に発展した。

アミニさんは9月13日、テヘランを訪問中にヒジャブ(スカーフ)を適切に着用しなかったという理由で道徳警察に殴られ、パトカーに頭を叩きつけられ、車内で暴行を受け、昏睡状態に陥り、3日後に死亡した。

国営イラン通信によると、17日の騒乱で治安部隊の兵士5人が死亡したという。

一方、治安部隊に射殺されたとされる9歳の少年の葬儀が南西部の都市で18日に行われ、新たなデモを引き起こした。

少年の葬儀に参列したデモ隊は「ハメネイに死を」を唱えた。治安当局は少年への攻撃を否定しているが、遺族によると、少年は「ハメネイに死を」と唱えたことで射殺されたという。

ノルウェーに拠点を置く人権団体イラン・ヒューマン・ライツ(IHR)などによると、治安部隊の攻撃でこれまでに民間人300人以上が殺害され、数万人が負傷し、1万4000人以上が拘束された。

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