◎首都ポルトープランスでは半年ほど前から「G9&Family」などの武装ギャングが地域の支配権をめぐって戦闘を繰り広げている。
2021年11月2日/ハイチ、首都ポルトープランス郊外、ギャンググループ「G9&Family」の構成員(Getty Images)

ハイチ当局は21日、首都ポルトープランスでギャング間抗争が勃発し、警察官少なくとも3人が死亡したと発表した。

ハイチの治安は2021年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺事件と8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。

ポルトープランスでは半年ほど前から「G9&Family」などの武装ギャングが地域の支配権をめぐって戦闘を繰り広げている。

国連はこの半年で民間人数百人が死亡または行方不明となり、数十万人が国内避難民になったと推定している。

ポルトープランス警察の報道官によると、抗争は20日早朝に発生し、激しい銃撃戦に発展したという。地元住民の通報を受けパトカー数台が現場に急行し応援を要請したものの、増援は来なかった。

報道官は「警察官少なくとも3人が死亡、1人が行方不明となり、1人が医療機関で手当てを受けている」と述べた。

AP通信によると、銃撃戦は20日遅くまで続き、周辺住民は避難を余儀なくされたという。

国連はポルトープランスの60%がギャングの支配下に置かれていると推定しているが、地元住民は政府庁舎を除く市内のほぼ全てで銃撃戦が多発し、ひどい時にはロケットランチャーや手榴弾が飛び交っていると報告している。

ギャングたちはアンリ(Ariel Henry)首相が政治的混乱と治安の悪化を招いたと批判し、ギャングのリーダーに議員資格を渡し、退陣するよう求めている。

政府は暴力に屈し、多くの市民が家を追われた。ポルトープランスでは殺人や強姦事件が多発している。

アンリ氏は昨年、国連に軍事介入を求め、ギャングを掃討するよう訴えた。米国とカナダはハイチ警察に装甲車と装備を供与している。

連邦議会は今月初めに任期満了を迎えた上院議員10人の選挙を実施できなかった。大統領は未だに空席のままである。

一部のアナリストはハイチを「ギャングに敗れた失敗国家」、アンリ氏を「選挙を行いたくても行えない悲しい独裁者」と呼んでいる。

2021年11月4日/ハイチ、首都ポルトープランス(Getty Images/AFP通信)
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