◎ハイチの治安は2021年7月のモイーズ大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。
ハイチ、首都ポルトープランスのガソリンスタンド(Getty Images/AFP通信/EPA通信)

国連機関である国際移住機関(IOM)は2日、ギャングの支配下に置かれるハイチ首都ポルトープランスからわずか3週間足らずで5万3000人以上の市民が退避を余儀なくされたと明らかにした。

それによると、その6割以上が南部地域の農村に逃れたという。

国連のデュジャリック(Stephane Dujarric)報道官は声明で、「IOMから南部地域のインフラが十分ではなく、支援を提供できずにいるという報告を受けている」と明らかにした。

IOMによると、南部地域に逃れたポルトープランスの住民は11万6000人を超え、増え続けているという。

ハイチの治安は2021年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。

ポルトープランスでは1年ほど前から複数のギャングが地域の支配権をめぐって血みどろの抗争を繰り広げている。

ポルトープランスの80%がギャングの支配下に置かれ、市内の学校、企業、公共機関はほぼ全て閉鎖。2つの主要刑務所もギャングの攻撃で崩壊し、4000人以上の受刑者が脱獄した。

ポルトープランスの人口は約300万人。大脱出は2月末から本格化し、一部は隣国ドミニカに逃れ、人身売買組織の力を借りて他の中米諸国に逃れたとされる。

過去1カ月のギャング間抗争で死亡した市民は確認できているだけで1500人を超え、数万人が住まいを失った。

3月8~27日の間にポルトープランスから南部に逃れた市民は5万3125人。うち7割が親戚の家や国連の難民キャンプに身を寄せている。

スポンサーリンク