◎ハイチの治安は2021年7月のモイーズ大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。
2022年7月21日/ハイチ、首都ポルトープランスの学校に開設された避難所(Ralph Tedy/ロイター通信)

国連児童基金(ユニセフ)は7日、中米ハイチでギャングによる誘拐事件が多発し、多くの女性と子供が行方不明になっていると報告した。

それによると、今年上半期の誘拐件数は300件近くとなり、昨年1年間の総数に達したという。

ユニセフは声明の中で、「ギャングは金銭的または戦術的有利を確保するため、女性や子供を人質に取り、金銭を要求する」と述べている。

ハイチの治安は2021年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。

ポルトープランスでは半年ほど前から複数の武装ギャングが地域の支配権をめぐって血みどろの抗争を繰り広げている。地元の人権団体はこの争いで民間人数千人が死亡または行方不明となり、数十万人が国外に逃亡したと推定している。

ユニセフはギャングの暴力と誘拐が多発していることに深刻な懸念を表明し、「女性と子供は商品でも交渉の道具でもない」と断じた。

またユニセフは誘拐の急増は非常に憂慮すべき事態であり、国民と支援者双方を脅かしていると警告した。

国連は昨年11月、ギャングが首都ポルトープランスの大部分を支配し、影響力を拡大し、住民を恐怖に陥れるために超法規的処刑、拷問、誘拐、レイプを多用していると非難した。

ハイチ当局は先月末、米ニューハンプシャー州出身の女性とその子供がポルトープランスで融解されたと発表した。

ホワイトハウスは先週、バイデン(Joe Biden)大統領がこの誘拐事件について報告を受け、2人を救出する準備が進められていると明らかにした。

米国務省は7月下旬、誘拐や暴力が懸念されるとして、大使などの高官を除く政府関係者にハイチから退去するよう勧告。米国民に渡航中止勧告を出した。

ハイチのアンリ(Ariel Henry)首相は国連に支援を要請し、米国・カナダが主導するPKOの派遣を求めている。

この要求は米国と国連の支持を得たものの、PKO派遣に反対するハイチ市民が抗議デモを行い、暴動に発展。ギャングの暴力に拍車をかける事態となった。

それ以来、PKO結成に向けた協議は停滞している。しかし、ケニアは先月末、国連安全保障理事会の承認を待って、PKOを指揮する用意があると表明した。

ハイチ政府はケニアの声明を歓迎。米国務省もエクアドルとともにこの安保理決議案を支持すると表明した。

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