◎ハイチの治安は2021年7月のモイーズ大統領暗殺と8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。
ハイチ、首都ポルトープランスのギャング(Getty Images/AFP通信)

国際医療支援団体「国境なき医師団(MSF)」は8日、ギャングによる暴力が急増するハイチで活動が難しくなっていると報告した。

MSFは声明で、「ここ数週間の抗争でシテ・ソレイユの医療機関を一時的に閉鎖せざるを得なくなった」と述べている。

シテ・ソレイユは首都ポルトープランスのスラム街で、長年にわたりギャングの支配下に置かれている。

このスラム街の人口は数万人と推定され、複数のギャングが血で血を洗う抗争を繰り広げている。

ハイチの治安は2021年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺と8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。

ポルトープランスでは半年ほど前から複数の武装ギャングが地域の支配権をめぐって血みどろの抗争を繰り広げており、国連はこの争いで民間人数百人が死亡または行方不明となり、人口の20%以上が国外に逃亡、数十万人が国内避難民になったと推定している。

MSFのハイチ代表は声明で、「病院の目の前が戦場になっている」と述べ、国際社会に支援を要請した。「シテ・ソレイユの病院は激戦地のど真ん中にあり、病院や負傷者を運び入れることはほぼ不可能です...」

AP通信によると、この病院には流れ弾が大量に着弾し、外に出るのは自殺行為に等しいという。

MSF代表は「この数日、近くの別の病院に銃撃を受けた多くの市民が運び込まれている」と述べている。

国連によると、2月24日~3月4日の間にポルトープランスで殺害された市民は確認できているだけで60人を超え、数十人が誘拐されたという。

アンリ(Ariel Henry)首相は国連安保理に軍事介入を繰り返し要請しているが、安保理はこの問題について協議していない。

安保理はPKO派遣の代わりにギャングに制裁を科し、米国やカナダなどはハイチ国家警察に装甲車や装備を送っている。今年ギャングに殺害された警察官は20人近くに達した。

ポルトープランスで活動する支援団体は6日、ツイッターに声明を投稿。「ポルトープランスの状況は絶望的であり、武装ギャングが市内を闊歩している」とツイートした。

「アサルトライフルで武装したギャングが市内をパトロールし、ライバルギャングや警察官を攻撃しています。ポルトープランスに安全な場所はありません。私たちは助けを必要としています!」

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