◎今年ギャングの攻撃で死亡した警察官は20人を超えた。
2021年10月22日/ハイチ、首都ポルトープランス、ギャンググループ「G9&Family」のリーダー(Matias-Delacroix/AP通信)

中米ハイチの警察当局は9日、首都プルトープランスの警察官3人がギャングの待ち伏せ攻撃を受け死亡したと明らかにした。

ポルトープランス警察によると、今年ギャングの攻撃で死亡した警察官は20人を超えたという。

警察の報道官はAP通信の取材に対し、「事件は市南部の上流階級が多く住む地域で発生した」と語った。それによると、この地域に拠点を置く「ティ・マカク(Ti Makak)」と呼ばれるギャングが攻撃に関与したという。

アンリ(Ariel Henry)首相は自身のツイッターアカウントに声明を投稿。ギャングを非難し、亡くなった警察官3人と遺族に哀悼の意を表した。

またアンリ氏はあらゆる措置を講じてギャングを取り締まっていると強調した。

ハイチの治安は2021年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺と8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。

ポルトープランスでは半年ほど前から複数の武装ギャングが地域の支配権をめぐって血みどろの抗争を繰り広げており、国連はこの争いで民間人数百人が死亡または行方不明となり、数十万人が避難民になったと推定している。

ティ・マカクはポルトープランス南部で昨年9月にも警察官3人を殺害したと告発されている。この地域ではジャーナリスト2人と元上院議員の甥も射殺されている。

アンリ政権は昨年10月、国連安保理に平和維持軍の派遣を要請したが、安保理はこの要請に応じず、ギャングへの制裁で対応している。

米国とカナダはハイチ国家警察に装甲車・装備・訓練を提供している。

国連によると、ポルトープランスとその近郊で今年ギャングに殺害された市民は530人を超え、300人近くが誘拐されたという。国内にとどまる避難民は16万人と推定され、数十万人が国外に逃亡した。

国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は先月、ハイチの暴力が制御不能な状態に陥っていると深刻な懸念を表明。「ギャングの暴力が慢性的なインフレと食料不安に拍車をかけている」と指摘した。

国連はポルトープランスとその周辺地域の8割がギャングの支配下に置かれたと推定している。

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