◎ハイチの治安は昨年7月のモイーズ大統領暗殺事件と8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。
ハイチ、首都ポルトープランスの抗議デモ(Getty Images/PAメディア)

ハイチ政府は14日、ガソリンの販売価格を大幅に値上げすると発表した。

政府のウェブサイトによると、ガソリン価格は1ガロン2ドルから4.78ドルに、ディーゼルは1ガロン3ドルから5.6ドルに、ケロシンは1ガロン3ドルから5.57ドルに引き上げられる予定。

<1ドル143円 リッターに換算>
▽ガソリン:リッター75円から180円に
▽ディーゼル:リッター113円から212円に
▽ケロシン:リッター113円から210円に

政府は燃料に補助金を出す余裕がなくなったため、引き上げは避けられないと説明している。

ハイチはベネズエラから石油製品を一括購入していたが、これは数年前に終了している。それ以来、政府は地元の流通業者に石油製品の輸入を許可し、補助金を出していた。

値上げに反対する抗議者たちは14日、首都ポルトープランス中の道路に瓦礫、タイヤ、金属のゲートなどを設置し、火を放った。

AP通信によると、市内の学校、小売店、銀行が閉鎖を余儀なくされ、あちこちから黒煙が上がったという。

抗議デモに参加したタクシー運転手の男性はAP通信の取材に対し、「車を売って隣国ドミニカに亡命する」と語った。「この値段で生活できる人は限られています。亡命する時がきました!」

政府は引き上げ日を明らかにしていないが、「ハイチの販売価格は欧米諸国に比べるとまだはるかに安い」とツイートし、国民に理解を求めている。

アンリ(Ariel Henry)首相は12日早朝のテレビ演説で「燃料価格を引き上げざるを得ない」と警告していた。

ポルトープランスでは13日から抗議デモが続いている。デモ隊は政府にインフレとギャング対策を急ぐよう求めている。

ハイチの治安は昨年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺事件と8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。

ポルトープランスでは3カ月ほど前から「G9&Family」と「G-Pep」と呼ばれる2つのギャングが地域の支配権をめぐって激しい戦闘を繰り広げており、国連によると、7月中旬以降の死者、負傷者、行方不明者は確認できているだけで500人を超え、数千人が国内避難民になった。

経済状況も悪化の一途をたどっており、米国から輸入される日用品の価格はこの数カ月で4倍以上に値上がりし、ガソリンの入手も困難になった。

ハイチ、首都ポルトープランス(Getty Images)
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