◎ハイチでは2021年7月以来大統領が空席となっている。最後に国政選挙が行われたのは2016年である。
ハイチ、首都ポルトープランス、ギャングの戦闘員(ロイター通信)

中米ハイチコニーユ(Garry Conille)首相は18日、8年ぶりの総選挙に備えるため、国際社会が長い間求めていた暫定選挙評議会を設立した。

同評議会のメンバーであるスミス(Smith Augustin)氏はAP通信の取材に対し、「委員9人のうち7人が選出され、残り2人は数日中に発表される予定だ」と述べた。

暫定選挙評議会は農家、ジャーナリスト、人権活動家、先住民族コミュニティなどのグループを代表するもので、選挙を組織し、実施するための法的枠組みを作る手助けをするのが任務である。

ハイチでは2021年7月以来大統領が空席となっている。最後に国政選挙が行われたのは2016年である。

前回の選挙評議会はアンリ(Ariel Henry)前首相に「党派的」と批判され、2021年9月に解散した。

これにより、21年11月に予定されていた総選挙は延期。批評家たちはアンリ氏が権力にしがみついていると批判したが、アンリ氏はこれを否定していた。

ハイチの治安は2021年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。

ポルトープランスでは1年半ほど前から複数のギャングが地域の支配権をめぐって血みどろの抗争を繰り広げている。

ポルトープランスの80%がギャングの支配下に置かれ、市内の学校、企業、公共機関はほぼ全て閉鎖。2つの主要刑務所もギャングの攻撃で崩壊し、4000人以上の受刑者が脱獄した。

アンリ氏はモイーズ氏暗殺から2週間後に首相に就任。選挙を行うと約束していたが、ギャングの暴力に圧倒され、今年退任した。

23年1月には最後の上院議員10人の任期が満了となり、民主的な選挙で選ばれた議員はゼロとなった。

ハイチはここ数十年の慢性的な政情不安、独裁政権、自然災害などにより、アメリカ大陸で最も貧しい国のひとつとなっている。2010年の大地震では20万人以上が死亡、その復興が進まぬ中、21年に地震が発生した。

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