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武装ギャングの襲撃で7人死亡、首長が政府に支援要請 ハイチ


事件が起きたのは南部マリゴ地区のセガンと呼ばれる地域で、13日夜から14日未明にかけて、武装ギャングが住民を襲撃した。
2023年9月20日/ハイチ、首都ポルトープランス、ギャングの戦闘員(ロイター通信)

ハイチ南部の地区で武装ギャングによる襲撃が発生し、少なくとも7人が死亡した。地元当局が14日、明らかにした。首長は事態の深刻化を受け、中央政府に対し緊急の支援を求めている。近年、首都ポルトープランス周辺に集中していた暴力が地方へと拡大している実態が浮き彫りとなった。

事件が起きたのは南部マリゴ地区のセガンと呼ばれる地域で、13日夜から14日未明にかけて、武装ギャングが住民を襲撃した。襲撃により若い男性7人が死亡したほか、警察署も放火されるなど、治安機構そのものが標的となった。犯行に関与したギャングは明らかになっていない。

マリゴの首長は暫定政権の対応の遅れを強く批判したうえで、フィスエイム(Alix Didier Fils-Aimé)首相に対し「必要なあらゆる措置を講じるよう求める」と訴えた。死亡した7人はいずれも地域の安全確保に関与していた若者で、警察に情報提供を行うなど、事実上の協力者として活動していたとされる。こうした住民が標的となったことは、地域社会の防衛体制が大きく揺らいでいることを示している。

ハイチでは近年、ギャングによる暴力が急拡大、主にポルトープランスおよびその周辺地域で深刻化していた。しかし今回の事件は、南部の比較的影響が限定的とされていた地域にまで暴力が波及していることを示すもので、国家全体の治安悪化が新たな段階に入った可能性がある。

国連の統計によると、2025年3月以降、ハイチ国内では5500人以上が殺害され、2600人以上が負傷した。また、暴力から逃れるために140万人以上が国内避難民となり、人道危機が深刻化している。

警察力の不足や装備の欠如、政治的混乱などが重なり、政府の治安維持能力は著しく低下している。地方では警察の存在感が希薄で、住民が自衛的に情報収集や防衛活動に関与せざるを得ない状況が続いている。今回犠牲となった若者たちも、そうした状況の中で地域を守ろうとしていたとみられる。

一方で、ギャング側は武器の高度化と組織化を進め、警察署や公共施設を直接攻撃するなど、その行動はより大胆かつ組織的になっている。今回のように警察施設が焼き払われる事例は国家権力への明確な挑戦と受け止められている。

国際社会はこれまでにもハイチの治安回復に向けた支援を行ってきたが、現地の状況は依然として不安定で、効果は限定的だ。ケニア主導の多国籍支援部隊の派遣なども進められているが、人員や資金の不足が課題となっている。

今回の襲撃は地方都市においても国家の統治が及ばなくなりつつある現状を象徴する出来事である。首長の訴えは単なる一地域の問題ではなく、国家全体の安全保障の危機として受け止められる必要がある。政府が迅速かつ実効性のある対策を打ち出せるかどうかが、今後の治安情勢を大きく左右することになる。

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