インド、ベトナムに巡航ミサイル「ブラモス」輸出へ、契約締結
インドは武器輸出国としての地位向上を目指し、東南アジア諸国との防衛協力を積極的に推進している。
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インド政府は30日、超音速巡航ミサイル「ブラモス(Brahmos)」をベトナムへ供給する契約を締結したと発表した。インドが近年推進している防衛装備品輸出政策の重要な成果と位置付けられており、中国の海洋進出が続くインド太平洋地域の安全保障環境にも影響を与える可能性がある。
発表したのは国防省のシン(Rajesh Kumar Singh)国防次官、シンガポールで開かれた安全保障関連会議の場で明らかにした。シン氏はベトナム向けのブラモス供給契約が正式に締結されたことを認めるとともに、インドネシアとの同様の契約も最終段階に入っていると説明した。インドは近年、自国の防衛産業育成を国家戦略の柱の一つに掲げ、武器輸出の拡大を目指している。
ブラモスはインドとロシアが共同開発した超音速巡航ミサイルで、音速の約3倍で飛行できる高性能兵器として知られる。対艦攻撃や地上目標攻撃に使用可能で、精度の高さと迎撃の難しさが特徴とされる。インド軍では陸海空の各部隊に配備され、フィリピンへの輸出実績もある。
ベトナムとインドは近年、防衛分野での協力を強化してきた。両国は中国との関係において共通の安全保障上の懸念を抱えている。特に南シナ海では、中国が広範な海域に対する領有権を主張し、周辺国との摩擦が続いている。ベトナムは中国と領有権問題を抱える代表的な国の一つであり、海軍力や沿岸防衛能力の強化を進めている。インドもベトナムをインド太平洋戦略の重要なパートナーと位置付け、防衛協力の拡大を重視してきた。
今回の契約を巡っては、ベトナムのトー・ラム(To Lam)党書記長が5月上旬にインドを訪問した際から交渉進展が注目されていた。当時の報道では、契約総額は訓練支援や兵站支援を含めて約6億ドル規模になる可能性があると伝えられていた。訪問時点では正式調印には至らなかったものの、その後協議が進み、今回の契約締結に結び付いたとみられる。
インドは武器輸出国としての地位向上を目指し、東南アジア諸国との防衛協力を積極的に推進している。ブラモスはその象徴的な輸出製品であり、フィリピンに続いてベトナムが導入国となることで、インドの防衛産業にとって大きな前進となる。一方で、中国は周辺国へのブラモス配備に警戒感を示し、今回の契約が地域の軍事バランスや外交関係にどのような影響を及ぼすか注目される。インドは今後も東南アジア諸国との軍事協力を拡大し、インド太平洋地域における存在感を高める方針とみられる。
