ハイチ・ギャング戦争:死者、避難民、暴力激増、10年ぶりの総選挙に影
国連ハイチ統合事務所(BINUH)によると、ハイチでは2022年以降、ギャング間抗争や治安作戦などによって2万1000人以上が死亡した。
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カリブ海の島国ハイチで武装ギャングによる暴力が拡大し、治安悪化が深刻な人道危機を引き起こしている。首都ポルトープランスでは8月23日夜から24日にかけて、丘陵地帯のケンスコフ地区でギャングによる襲撃が発生し、国連によると少なくとも47人が死亡、22人が負傷、50人以上が拉致された。警察署の近くでも住民が殺害され、数千人が避難する事態となった。
国連ハイチ統合事務所(BINUH)によると、ハイチでは2022年以降、ギャング間抗争や治安作戦などによって2万1000人以上が死亡した。2026年上半期だけでも3000人以上が死亡し、そのうち少なくとも1733人は治安部隊による作戦の過程で命を落とした。さらに、その中にはギャングとの関係を持たない民間人が少なくとも229人含まれ、流れ弾やドローンによる爆発などの犠牲になっている。
暴力は殺人だけにとどまらない。2026年に入ってから国連が把握した性的暴力の被害者は1088人に達した。身代金目的の誘拐も拡大し、2026年第2四半期(4~6月)には81人が誘拐され、前期から47%増加した。被害には政府高官や警察官、企業経営者だけでなく、農村部の住民も含まれる。
戦闘と犯罪の拡大は市民の生活基盤も破壊している。国際移住機関(IOM)によると、5月時点で国内避難民は約147万人、人口の12%を占める。ケンスコフの最新の襲撃だけでも2600人以上が避難を余儀なくされた。
また食料不足も深刻で、約580万人が高水準の食料不安に直面している。ギャングが道路や物流を支配することで物資の輸送が妨げられ、経済活動も圧迫されている。
こうした状況は政治にも影響する。ハイチでは2016年以来、選挙を行えておらず、2021年にはモイーズ(Jovenel Moise)大統領が暗殺された。暫定選挙評議会は12月13日に大統領選と議会選の第1回投票を予定しているが、自由で公正な選挙を実施できるだけの治安を確保できるかは依然として不透明だ。
国際社会は国連主導のギャング掃討部隊の展開を進め、秋までに5500人超の規模を目指している。しかし、部隊の本格的な展開には時間を要している。ハイチで相次ぐ襲撃は単なる治安問題ではなく、国家機能、経済、人道支援、そして民主的な政治制度そのものを揺るがす危機になっている。
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