◎3月末以降に逮捕されたギャングまたはギャングと疑われる者は3万5000人近くに達した。
2022年3月27日/エルサルバドル、首都サンサルバドルの市街地、逮捕された武装勢力の構成員(Salvador Melendez/AP通信)

エルサルバドル議会は25日、ブケレ(Nayib Bukele)大統領の対ギャング非常事態令の期間を再延長した。

現地メディアによると、議会はブケレ氏の延長要請を賛成多数で承認したという。

ブケレ氏は3月末、ギャング関連の殺人事件が多発したことを受け、非常事態を宣言し、軍と警察の権限を強化したうえで、刑法を改正した。非常事態令の期間は1カ月だったため、4月末に1度延長している。

政府の報道官は記者団に対し、殺人の件数は激減したが、ギャングとの「戦争」を継続すると語った。「この戦争はエルサルバドルからギャングが根絶されるまで続くだろう」

報道によると、3月末以降に逮捕されたギャングまたはギャングと疑われる者は3万5000人近くに達したという。

権利団体は外見やギャングの多い地域に住んでいるという理由で逮捕された市民がいると批判している。

しかし、ブケレ氏の支持率は80~90%近くで推移しており、今回の非常事態令もギャングの暴力にウンザリしている人々の強い支持を集めている。

当局は非常事態令の下、結社の自由や弁護人を選任する権利などを制限し、裁判所の許可を得ずに被疑者を拘束している。

またブケレ氏はギャングに所属し逮捕された幹部の懲役刑を6年以上9年以下から「40年以上45年以下」、その他の構成員は3年以上5年以下から「20年以上30年以下」に引き上げ、刑事責任を問える年齢を12歳以上に引き下げた。

さらに、ギャングのメッセージを共有したメディア(ジャーナリスト)に10年以上15年以下の禁固刑を科す新たな刑法も施行されている。

首都サンサルバドルの刑務所は一斉逮捕の影響で収容率が100%を超え、ギャングは食事を減らされ、地べたで寝るよう命じられている。

中米最大のギャングであるマラ・サルバトルチャ(通称MS-13)やバリオ18などの構成員は7万人以上と伝えられている。ギャングの暴力に巻き込まれた市民は数知れず、危険な地域で生活していた数千人が亡命や逃亡を余儀なくされた。

ギャングの力は、国家が長い間存在しなかったエルサルバドルの最貧地区で特に強くなっている。

ギャングは低所得者から金を巻き上げ、金を払えない、あるいは払おうとしない企業を閉鎖に追い込み、反抗的な者を処刑し、恐怖で町を支配している。

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