◎最新の世論調査によると、ギャング討伐を支持する割合は90%に達したという。
2022年3月30日/エルサルバドル、首都サンサルバドルの刑務所(Getty Images/AFP通信)

エルサルバドル議会は15日、ブケレ(Nayib Bukele)大統領の対ギャング非常事態令の1カ月延長を賛成多数で採択した。

この非常事態令は3月下旬の発出以来、9回延長され、来年まで続くことが確定した。

政府はギャング関連の殺人事件が多発したことを受け、非常事態を宣言。刑法を改正するなどしてギャングの取り締まりを強化した。

それ以降に逮捕されたギャングまたはギャングと疑われる市民は6万人を超えたと報告されている。

一部の人権団体はギャングと疑われる市民まで逮捕・虐待されていると批判しているが、国民はこの取り組みを支持しているように見える。

非常事態令により、警察の権限は大幅に強化され、さらに結社の自由や弁護人を選任する権利などが制限され、警察は令状なしで家宅捜索を行ったり被疑者を拘束できるようになった。

また刑法改正により、ギャングに所属し逮捕された幹部の懲役刑は6年以上9年以下から「40年以上45年以下」、その他の構成員は3年以上5年以下から「20年以上30年以下」に引き上げられた。

活動家たちはこの政令が人権侵害につながっていると指摘。当局は来年1月から人権団体とともに刑務所の状況を確認すると約束した。

活動家によると、警察は年齢、外見、ギャングが支配するスラム街に住んでいるという理由だけで市民を逮捕しているという。

地元の独立系メディアは警察筋の話を引用し、「逮捕後にギャングと関連がないとして釈放された市民は2100人にのぼる」と報じている。

エルサルバドルには中米最大のギャングであるマラ・サルバトルチャ(通称MS-13)の拠点がある。このギャングの構成員は7万人と推定され、長い間、同国の広い範囲を支配し、殺人や強盗を繰り返してきた。

最新の世論調査によると、ギャング討伐を支持する割合は90%に達したという。

軍は今月初めに首都サンサルバドル近郊のソヤパンゴに兵士1万人を派遣し、町を包囲。出入りする者をチェックし、ギャングを「根絶やし」にするとしている。

ソヤパンゴは同国最大の都市のひとつで、MS-13やバリオ18などのギャングの拠点があるとされる。

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