◎国営メディアは13日の放送で、12日に首都ハバナの郊外で抗議に参加した36歳男性の死亡を確認したと報じた。
2021年7月12日/キューバ、首都ハバナの議会議事堂周辺(Ismael Francisco/AP通信)

キューバの現地メディアによると、首都ハバナなどで発生した大規模な抗議活動により、男性抗議者1人の死亡が確認されたという。

国営メディアは13日の放送で、12日に首都ハバナの郊外で抗議に参加した36歳男性の死亡を確認したと報じた。

内務省は13日、男性は抗議者と警察の衝突中に死亡したと発表した。報道官によると、この衝突で不特定多数の抗議者が逮捕され、警察官数名が負傷したという。

内務省は声明の中で、「抗議者は民家を破壊したうえで火を放ち、ナイフ、石、その他の武器で警察官と民間人に襲いかかり、送電線に損傷を与えた」と主張した。

今回の抗議活動は11日に噴火した。首都ハバナに押し寄せた抗議者たちは経済危機、食糧不足と価格高騰、停電、そして共産党のコロナ対応に不満を表明し、一部の抗議者は独裁体制の終結を訴えた。キューバ共産党は無許可の集会を禁止している。

ミゲル・ディアス=カネル第一書記は抗議者を「アメリカの傭兵」と呼び、共産党支持者に「通りに出て戦いなさい」と命じた。「さあ、戦うのです、革命家たちよ!」

内務省は男性の死因や事件の経緯を明らかにしなかったが、「男性の死を悼む」と哀悼の意を表した。

一部の現地メディアは、男性はハバナのラギネラ地区で「騒乱」に巻き込まれたと報じた。報道によると、この騒乱に関与したグループは政府の施設を攻撃したという。

しかし、騒乱の目撃者はロイター通信の取材に対し、「抗議者を最初に攻撃したのは警察官だった」と主張した。ラギネラ地区の住民、ウォルド・エレーラ氏はロイターに、「警察官は抗議者を銃撃した」と語った。「共産党は抗議活動に慣れておらず対処を誤りました。指導部は問題を解決できないでしょう...」

抗議活動はハバナの南西に位置するサン・アントニオ・デ・ロス・バーニョス市で始まり、全国に拡大した。

ソーシャルメディアにはパトカーや店舗を攻撃する抗議者の写真や動画が複数共有されている。

現地メディアによると、警察は全国各地で警戒態勢を維持しながら取り締まりを行い、これまでに100人以上を逮捕したという。

21歳の息子を探しているという女性はハバナ警察署の前でAFP通信に、「息子は自宅から連れ去られた」と語った。「警察は息子に手錠をかけ、殴打しました。連れ去られたのは息子だけではありません。警察は近所の青年や老人も逮捕しました」

英BBCニュースの取材に応じた男性は、抗議活動後ガールフレンドの自宅に身を隠し、難を逃れたと述べた。「共産党は抗議者をテロリストのように扱います。私たちはただ自由を求めているだけです...」

現地メディアによると、政府によるインターネットの遮断は13日も続いたという。共産党は2018年12月にインターネットサービスを開始したが、それらは全て政府および州政府の管理下に置かれている。

稀な抗議活動を受け、故フィデル・カストロ議長の弟であるラウル・カストロ前第一書記は12日に共産党の閣僚と状況について協議したと伝えられている。

ブルーノ・ロドリゲス外相は13日、「暴動は非常に小規模で、政府と国民は問題を軽々と解決した」と述べた。また、政府の専門家チームは部外者が関与した証拠を見つめたと明らかにした。「キューバで抗議活動は発生しません。私たちの意思は国民の意思であり、国民は革命政府を支持しています」

キューバのローマカトリック司教たちは、暴力を避けるよう呼びかけた。

アメリカは1962年のキューバ危機以来、様々な方法でキューバに厳しい制裁を科している。ジョー・バイデン大統領は就任直後の声明でキューバ問題は外交の最優先課題ではないと述べ、ドナルド・トランプ前大統領が科した経済制裁を維持すると示唆した。

2021年7月12日/キューバ、首都ハバナの議会議事堂前(Ismael Francisco/AP通信)
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