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キューバ東部で大規模停電、送電網が崩壊、エネルギー危機に抗議するデモも

キューバでは近年、慢性的な燃料不足と発電施設の老朽化によって停電が頻発している。
2025年9月10日/キューバ、首都ハバナの通り(ロイター通信)

キューバで14日未明、老朽化した送電網が大規模な障害を起こし、東部一帯が停電に陥った。首都ハバナでも長時間の計画停電が続いており、深刻化するエネルギー危機に市民の不満が高まっている。国営電力会社によると、停電は東部全域に及び、復旧作業を急いでいるものの、全面復旧の時期は示されていない。

キューバでは近年、慢性的な燃料不足と発電施設の老朽化によって停電が頻発している。特に2024年以降は全国規模の停電が繰り返され、2026年に入ってからも複数回にわたり送電網が崩壊した。今回の障害は東部地域を中心に発生したが、ハバナでも停電が続き、市民生活に深刻な影響を与えている。冷蔵庫が使えなくなり食品が腐敗するケースが相次いでいるほか、一部病院では手術延期も発生している。

背景には、燃料供給の急激な悪化がある。キューバ政府によると、国内で生産できる燃料は必要量の約4割にとどまる。ロシアから3月末に到着したタンカーの原油もすでに尽き、新たなタンカーは大西洋上で停滞しているという。エネルギー不足を受け、ディアスカネル(Miguel Diaz-Canel)大統領は13日、「状況は極めて緊迫している」とテレビ演説で訴えていた。

共産党は危機の原因について、米国による制裁強化を挙げている。トランプ政権は今年1月、キューバに石油を供給する国への関税措置を警告し、政治犯の釈放や経済自由化を要求した。これを受け、主要供給国だったベネズエラやメキシコが燃料輸送を停止し、燃料事情が急速に悪化した。国連も最近、米国の封鎖措置が食料や医療へのアクセスを阻害していると懸念を示している。

停電の長期化に対する市民の怒りも高まっている。AP通信によると、ハバナでは住民らが鍋やフライパンを打ち鳴らして抗議し、一部ではゴミ箱への放火も起きた。政府報道官は国営テレビで「危機的状況だ」と認め、節電と我慢を呼びかけた。

人口約1000万人のキューバでは、観光収入の低迷やインフレ、物資不足も重なり、経済危機が深刻化している。電力網の崩壊は単なるインフラ問題にとどまらず、政権への不満や社会不安を拡大させる要因となっている。政府はロシアからの追加燃料到着に期待を寄せるが、送発電設備更新の見通しは立っておらず、停電の常態化は今後も続く可能性が高い。

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