カリブ海諸国、チャールズ国王訪問を前に奴隷制への賠償要求、英王室の存在意義や植民地支配の清算が焦点に
今回の訪問は英国と旧植民地の歴史的関係を改めて問い、謝罪や賠償、共和制への移行を巡る議論を一段と強める可能性がある。
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イギリスのチャールズ国王(King Charles III)とカミラ(Queen Camilla)王妃がカリブ海地域を訪問するのを前に、各地で奴隷制への賠償や英国による正式な謝罪を求める声が高まっている。旧植民地では、王室との関係を見直し、政治的・制度的な独立をさらに進めるべきだとの議論も広がっている。国王夫妻は10月27日から9日間の日程でバハマ、ガイアナ、アンティグア・バーブーダなどを訪問する予定だ。
最初の訪問先となるバハマは1973年に約300年に及ぶ英国統治を終えて独立した。しかし、現在も英連邦の一つとして、チャールズ国王を国家元首と認めている。バハマ国家賠償委員会は国王の訪問を前に、王室が現代のカリブ海社会にとって何を意味し、地域住民にどのような利益をもたらすのかを問い直す必要があると指摘した。
英国の植民地支配と奴隷制を巡る問題はガイアナでも争点となっている。同国では1823年、奴隷にされた人々による大規模な反乱が起き、英国側の弾圧によって200人以上が死亡した。アリ(Irfaan Ali)大統領はチャールズ国王が奴隷制を人類史上最も暗い時代の一つと認めたことを評価する一方、国家による正式な謝罪が必要と訴えている。
一方、先住民社会からは、訪問が自らの問題に十分な関心を向ける機会になるのか疑問視する声も出ている。ガイアナ北部の先住民集落の指導者は、地域で長年続く土地紛争や先住民の権利侵害について国王に伝えたいと考えていたが、面会に招かれなかったと明らかにした。
ジャマイカでは、英国王室から距離を置く動きが特に強い。同国はチャールズ国王を国家元首とする現行制度を廃止し、共和制へ移行することを目指している。国王夫妻の今回の訪問日程にジャマイカは含まれていない。若い世代を中心に、王室は植民地支配の象徴であり、謝罪や賠償が実現しないまま友好関係を演出することには意味がないとの意見が広がっている。
ジャマイカは9月、奴隷制への賠償を求める問題を英国側に提起し、案件はカリブ海地域を管轄する英国の枢密院司法委員会に付託された。ただし、英国政府は謝罪や賠償の要求を一貫して拒否している。
国王夫妻はアンティグア・バーブーダで英連邦首脳会議にも出席する。会議では気候変動、貿易、開発などが議題となる見通しだが、一部のカリブ海諸国の指導者は奴隷制への賠償問題を中心議題に据えるよう求めている。
今回の訪問は英国と旧植民地の歴史的関係を改めて問い、謝罪や賠償、共和制への移行を巡る議論を一段と強める可能性がある。
